第656話 城門にとんでもないヤツが現れた

 翌日。

 魔法部隊と一緒に学校へ行こうと城を出た所で、とんでもないモノと遭遇した。



「うおっ!なんかいるぞ!?」



 やたらと背の高い男?と、茶色のずんぐりむっくりしたナニカだ。

 慌てて近くまで駆け寄る。



「ノッポッポさんとゴン太郎くんじゃないか!!いや、いくら何でもノッポッポさん背が高過ぎだろ!」



「くくッ!」

「うわーーーっはっはっはっはっは!!」



 笑い声のした方を見ると、清光さんと虎徹さんが物陰から出て来た。



「あっ!もしかしてコレって、堺ダンジョンの人形なのか!?」

「正解だ。ようやく昨日31階層まで到達したぜ!」

「堺ダンジョンを発見した時に通信しようか迷ったんだけどさ、でもどうせだから31階層まで攻略して驚かせようと思ってな!」

「そういうことでしたか。もうすでにダンジョンを攻めていたとは・・・」

「ちょうど通信機で呼び出そうと思っていた所だったんだが、そっちから出て来てくれるとはナイスタイミングだ!」


「ちょっと何なのよコレ!?」

「ムムム!?この人形は初めて見たですよ!」

「背が高すぎじゃない?3メートルくらいあるし!!」

「茶色いのはちょっと可愛いかも!」



 パメラと魔法部隊も謎の人形の出現に驚いている。

 玉座の間に置いてない人形なのは、ノッポッポさんを見れば一目瞭然だしな。



「やっぱり強かったですか?」

「俺がノッポッポさんとタイマンを張って、コテツがゴン太郎くんとやり合ったんだが、案の定どっちも格闘技の達人だった。いや~燃えたな!」

「ノッポッポさんがムエタイの達人で、ゴン太郎くんが横綱だったぞ!」

「うおおおおお!どっちもヤバそうじゃないですか!」

「まあそれはそれで超白熱の闘いだったんだが、それよりも厄介だったのが途中で飛び入り参加して来たアイツだ!コテツ、出してくれ」

「エーーーーー、ここで出しちゃうの?別のタイミングで出して驚かせようと思ってたんだけどな~」


 一体何が出て来るんだ!?

 勿体ぶるってことは、間違いなく俺のよく知るビッグネームだろ!


「まあいいだろ。見せないと話の続きが出来ん」

「それもそうか!」



 コテツさんがアイテムボックスから出したのは、『ハローキチー』だった。

 皆さんご存じ、リボンを付けた二足歩行の猫っぽい動物だ。



「キチーちゃんじゃないか!!」


「「可愛いーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」



 この可愛らしいのが飛び入り参加して来たのか!

 そんな光景を目撃したら間違いなく大爆笑しそうな気がする!!



「いや、見た目に騙されるな!こう見えて、キチーちゃんは少林拳の達人だ!」

「メチャクチャつええんだぞ!!残像が残るほど動きが速いんだよ!」

「小っちゃいし手足も短いから攻撃が届かないんじゃ?」

「そう思ったら大間違いだ。よく見えんが手足が伸びて来るような感じだった。ノッポッポさんの膝蹴りでアバラが逝ってたから、アレはマジでキツかったな~」

「三節棍を持った時が一番ヤバかったぞ!こっちは素手で闘ってるってのに!」

「あ~、そういえば少林拳って武器アリですもんね」


 俺もガチョピンと闘った時って結構いっぱいっぱいだったもんな。その最中に少林拳の達人が割って入ったら厳しかったかもしれねえ。


「でも倒したんですよね?チャンピオンベルトは出ましたか?」

「勿論俺がムエタイの新チャンピオンだ!」


 清光さんがマジックバッグからチャンピオンベルトを取り出して見せてくれた。


「オレも相撲の新チャンピオンだけど、相撲だからデカいトロフィーだった」

「確かに相撲にチャンピオンベルトはおかしいですね。キチーちゃんはどっちが倒したんですか?」

「シルヴァラだ。手が離せない用事があって今は一緒に来られなかったが、アイツがチャンピオンベルトを持っている」

「キチーちゃんが三節棍を使ってたから、木刀だけアリにしたんだ。スゲー派手にやり合ってたぞ!」

「シルヴァラさんか!闘ってる姿は見たことないけど、実は強かったんですね~」


 それほど三河の城に行かないから滅多に見ないが、元気にやってそうだな!

 確か暴走族のレディースの格好をしていたから、木刀とか超似合いそう。



「でだ。問題なのは堺ダンジョンの大自然フロアなわけだが・・・」



 そうだ!人形の方がインパクトがデカくて話題にしやすいが、本命は堺ダンジョンにも大自然フロアがあるかどうかじゃないか!



「京の都と同じタイプでしたか!?」

「ズバリ、採れる果物はたぶんまったく一緒だ。昨日31階層に到達したばかりで、まだ31階層の大自然フロアは確認していないのだが、そこにメロンやスイカがあれば同じ内容と思っていいだろう」

「桃とかバナナはすでに手に入れたぞ!今からシルヴァラとニーナを連れて、メロンとスイカをゲットして来るぜ!」

「おお!この場合はむしろ同じ内容で良かったですね!そっちは肉ばかりとかだったら交渉が成立しなくなってしまいますし」

「そうだな。細かい違いはあるかもしれんが、今の所及第点といえよう。31階層でメロンとスイカが発見されれば交渉は成立だ!」

「よしッ!!」



 流石は猫ちゃんだ!京の都ダンジョンと堺ダンジョンの違いを、出現する人形と魔物の違いだけにして、生命線でもある食べ物の方は同じ内容にしたんだ。


 変に気合を入れ過ぎて余計な真似をしないセンスがパーフェクト過ぎんぜ!

 おそらく31階層の大自然フロアだけ内容を変えたりはしないだろう。



「んじゃそろそろダンジョンに向かうわ。そっちも何か用事があって城から出て来たわけだろ?」

「今からゴーレム教室です」

「おお!とうとうゴーレムを作り始めたのか!」

「そりゃ楽しみだ!くれぐれも取り扱いには注意しろよ?」

「もちろんわかってます!」


「ちょっと待て!小烏丸達の後ろに何かいるぞ!!」



 何だって!?


 バッ


 後ろを振り返ったが、別に何もいないような・・・。

 ルル達もキョロキョロしているが、何も発見できていないようだ。



「別に何もいないような気がしますが・・・、どわっ!!」



 清光さんと虎徹さんの横に、ウルタラマン兄弟がズラッと並んでいた。



「ウルタラマンがいっぱい並んでるし!!」



「「ぶわーーーっはっはっはっはっはっはっは!!」」



 クソガーーー!話が終わろうとしているタイミングで罠を仕掛けてくるとは!!

 前回驚かせまくったから、やり返そうと狙ってたな!?


 っていうかウルタラマン兄弟が勢揃いとか、めっちゃ羨ましいんですけど!!

 

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