第655話 ガルザリアスから通信が!

 ミュルモが獣人だというのを完全に失念していた俺は、まるで抵抗する事無くスーパーフェロモンをその身に受け、朝まで猛獣化した。


 しっかり身構えていれば、少しくらい理性が残ってたかもしれないのに・・・。

 いやアレは無理か。とにかくまたもや獣人に敗北し、睡眠時間はゼロだった。


 仕方ないので、パメラ先生の授業を聞きながら教室の一番後ろに布団を敷いて睡眠学習をしたのだが、魔石の融合とゴーレムの充電装置を作るのが難しいようで、授業を聞いていなくても全然問題なかったようだ。



「先生!後ろの布団が気になって集中できません!!」

「同じく!授業の邪魔なので、追い出してもらえませんか?」

「なんでこの教室で寝るのかしら?」

「アホなのよ」



 ツカツカツカツカ


 ペシッ


「あいたッ!」


 目を開くとパメラ先生がいた。


「なんばしよっとね!?」

「寝るなら他の部屋で寝なさい!授業の邪魔です。ってかそれどこの方言よ?」


 博多弁だったかな?あと熊本もだな。


「今何時?」

「知らないわよ!腕時計してるんだから自分で確認しなさい!」


 時計を見ると昼過ぎだった。


「お昼じゃないか。もう給食の時間だぞ」

「まだ開校してないんだから、そんなモノはありません!でも確かに少しお腹が空いてきたわね。そろそろ昼食にしましょうか」

「おーいみんな~!ハンバーガーを出すから取りに来てくれ!」


「「はーーーーーい!」」



 というわけで、料理班に作ってもらってあったハンバーガーで一休みだ。

 俺は寝てたから全然腹が減ってないけどな!



 プルルルル



 ん?この音は何だ?・・・って通信機の音じゃん!


 はあ?ガルザリアスだと?

 もしかして線路が完成したのか!?



「ハイハイこちら小烏丸どーぞー」


『お?小烏丸の声が聞こえるな!ガルザリアスだ』


「久しぶりだな!元気にやってたか?」


『いや、まあ元気っちゃ元気だが、少し凹んでいる所だ』



 はあ!?ガルザリアスが凹むなんてよっぽどだぞ!?



「何があった?」


『とある男にボコボコにされた』


「お前ほどの男がか!?相手は誰だ!」


『リュウだ』



 ぶッ!



「麻雀じゃねえか!!もしかして陸奥の国にいるのか!?」


『ご名答。今ベガスの街のカジノに来ている。しかし面白い街だな!こんな建物を造って帰るとは、素晴らしい仕事っぷりに感服したぞ!』


「仲間に土魔法の達人がいるんでね。しかし話を聞いているだけで楽しそうだ。俺も久々にギャンブルがしたくなってきたな!」


『来ればいいだろ?あ、そういや今どこにいるんだ?』


「京の都だ」


『おお!とうとうミスフィート軍に合流したのか!』


「ようやくここまで帰って来ることが出来たぜ!まあそういうわけだから陸奥の国まで行くのはちょっと無理だ。そこまで線路が開通すればってとこだな」


『ああ、残念ながら越後はまだもう少しかかる。陸奥も越後と同様、国土面積が広くて苦戦しているようだな。信濃の国はどうなったんだ?』


「甲斐大名のライオウとも交渉が成立したんで、線路を敷いてもらっている所だぞ!あの国も広いからそう簡単には終わらんだろな~」


『お前すげーな!順調に事が進めば陸奥から京の都まで線路が繋がるのか!』


「ワクワクするだろ?線路が開通したら京の都にも遊びに来るといい」


『勿論行くぜ!ところで話は変わるが、『テツ』という名の男を知っているか?』



 テツ?・・・ナルティア軍にそんな名前の男っていたかなあ?



「ちょっと分からん。そいつがどうした?」


『黒シャツを着た優男なんだが、かなりツエーんだよ!最初ぶっこ抜きを使ってきたから腕を掴んでぶん殴ってやったんだが、ひらで打っても普通に強かった!悔しいがそいつにも負けたんで、リベンジしようと武者修行している所だ』


「そうか・・・、とうとうギャンブル王国に猛者が出現し始めたか」


『マチルダレミンが仇を取ってくれたが、俺は自分の力で奴を倒してえんだ!』


「マチルダさんが!?」


『あの女、イカサマも半端ねえがひらで打っても俺より強えんだよ!つーかすでに陸奥の国で四天王の一角として一目置かれてやがる』



 もうすでに伝説のギャンブラーじゃないっスか!

 マチルダさん、マチルダさん、マチルダさーーーーーーーーーーーん!!



「麻雀の世界ってのは不思議なもんで、天に愛されているとしか思えない理不尽な強さを持った人物が度々現れるんだよ。そのテツってのも、放っておくと手の付けられない男になるかもしれんな。とにかく死ぬ気で食らいつけ!諦めなければ天に愛された男をも倒せる領域にまで辿り着けるかもしれん」


『天に愛された男を執念だけで撃破か・・・。実に面白い!』


「リュウはちょっと無理かもしれんけどな」


『アレはちょっと手に負えん。イカサマを駆使したとしても鼻で笑われて惨敗するような気がするぞ。緑一色リューイーソーを3発くらったからな』


「ぶはッ!相変わらず容赦ねーーーーー!!」


『おっと、長話しが過ぎたな。そろそろ賭場に戻るとするか』


「そうか、また強い奴と出会ったら教えてくれ!あと線路が完成した時もすぐ連絡してくれ」


『わかっておる。そういやナルティアが、『小烏丸から全然連絡が来ないぞ!』とプンプンに怒ってたぜ?』


「そういやしばらく通信してねえ・・・。教えてくれて助かった!」


『どういう関係なのかは知らんが、女を怒らせると怖いぞ?じゃあな!』


「あ、ああ、肝に銘じておく。頑張れよ!マチルダさんによろしく!」


『おう!』



 やっべえ!急いでナルティアに通信しねえと!


 しかし久々に陸奥の話が聞けて楽しかったな。

 ガルザリアスに負けないよう、俺もたまには麻雀を打たんとな~。

 

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