第646話 旅の仲間とゴーレムの試運転

 聖水を少し飲んだのと精の付く料理を爆食いしたのが功を奏したのか、なんとか無事に今夜の嫁を満足させることが出来た。


 最近負け続きだったから4連敗したらどうしようかと思ったけど、さすがにチェリンやカトレアみたいな強敵はそう何人もいないか・・・。


 深夜3時にはもう決着がついていたと思うので、睡眠時間はバッチリだ。

 ようやく仕事に復帰することが出来るぞ!



 今日はゴーレムの試運転をして、問題が無ければ軍の皆に披露するつもりだ。

 色々な意見が聞きたかったので、試運転に旅のメンバー全員を招集した。



「青いゴーレムか!家老ランバルのゴーレムを思い出すな」

「ご主人様が初陣の時に搭乗したゴーレムがこんな色だった!懐かしいな!」

「そういえば、あたいの専用ゴーレムを作ってもらってないぞ!」

「ボクのもまだだよ!」

「仕事が落ち着いてからになるけど、余裕ができたら全員分作ってあげる予定だから、もう少しだけ待っててね」

「ウチのゴーレムはどこにゃ!?」

「ニャルルのゴーレムも小烏丸のゴーレムもそれ以外のゴーレムも、ルーサリア?だかの城に置いたままじゃの」

「尾張の国のルーサイアって街にあるミケネコ城だ。元々はあの城がミスフィート軍の本城だったんだぞ。領土が広くなり過ぎたんで前線に引っ越したけどな」



 住めば都って言うけど、俺はやっぱルーサイアの街が一番好きだな。

 京の都は人口が密集してるのもあって、どうも落ち着かないんだよね。



 ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン!

 ガシュ ガシュ ガシュ ガシュ ガシュ



「おおおおおおーーーーー!チャミィとメメのゴーレムが来たのじゃ!」

「小っちゃくてかわいい!」



 そうそう!実はチャミィとメメもゴーレムの新作を作っていたみたいなのだ。それを披露するということで、ララとメルティー様も二人に招待されてやって来た。


 しかし相変わらずというか、今回のゴーレムも意味不明な謎キャラだな・・・。


 チャミィの2号機はやっぱり今回も鳥型ゴーレムなんだけど、なんか少し進化している気がする。1号機は絵に描いただけの翼だったのに、今回の翼はボディーから少し浮いていて動きそうな感じだ。


 メメのゴーレムも1号機とは違うんだけど、やっぱり触手付きのゆるキャラだ。

 前回の反省を生かして、左右のバランスがかなり良くなった気がする。


 でもやっぱり謎生物すぎて、可愛いんだかキモいんだかよく分からん。

 本人が塗装したらしく、サイケデリックでハチャメチャな見た目なのである。


 彼女の感性って本当に凄いものがあるな。

 たぶんああいうのを天才肌と言うのだろう。


 芸術家を目指したら、世界的に有名な人物になるかもしれんぞ!

 敢えて常識を押し付けたりはせず、変な子ちゃんのまま大人になって欲しい。



「よし!試運転してみる」



 ガシャン


 コックピットを開けて中に乗り込む。



「おおーーーーー!この感じ、初めて乗った軍用ゴーレムを思い出すぞ」



 起動ボタンを押すと、前面の大きなモニター画面に外の景色が映った。

 画面は左右に大きく広がっており、視野はかなり広い。


 パチン


 音の切り替えボタンを押して、外部の音も内部の音も聞こえる状態にした。

 屁はできなくなるが、試運転だから外部と会話する必要があるのだ。



「おーい!聞こえるかーーー?」


『聞こえてるわよ~』


「よし、映像と音声はバッチリだな!」


『でもアクセルペダルは軍用機のと一緒だからね』


「了解!」



 チャミィ仕様のシャカシャカペダルだと、素人には操縦が難しいからな。


 ミスフィートさんやカーラなんかが乗る予定だったから、初心者用って感じで頼んであったのだ。



「赤い流星、出るぞ!」



 ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン!



 うっひょーーーーー!この感じ懐かしいな。スピードアップだ!



 ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!ガシン!



 流石はパメラが作ったゴーレムだ。ランバル機よりも断然乗りやすいぞ。

 というか、あの人のゴーレムって癖が強すぎるからな~。



 ガシュン! ガシュン! ガシュン!



 剣の振りもかなり鋭い。

 もうすでに武将専用ゴーレムとして実戦に出られるレベルだろ。



 ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン! ガシン!



 全く問題なし!

 それどころか、コイツをミスフィートさんに献上してもいいくらいだ。



 ガシャン


 十分満足したので、最初の位置に戻ってコックピットを開けた。



「素晴らしいゴーレムだった!外から見ても問題なかったか?」


「凄く強そうだったよ!」

「民間ゴーレムと全然ちげーな!」

「メチャメチャ良い動きだったにゃ!」

「あの大決戦に集まったゴーレム達よりも強そうだったぞ?」

「パメラの腕も大したものじゃのう」

「かなりの自信作だったけど、そんなに褒められると照れるわね~!」


「色んなゴーレムを見てきた皆が言うんだ。間違いなく会心の出来だろうさ!んじゃ次は誰が乗る?」


「もちろんウチに決まってるにゃ!!」

「どうせ全員乗るんだし、誰からでもいいぜ?」

「ニャルルからでいいけど、絶対壊さないでよね!」

「壊すわけにゃいにゃ!」



 俺はもう十分満足したので、その後は全員がゴーレムを操縦するのをほっこりしながら眺めていた。


 しかしセレスティーナの奴、ゴーレムの操縦が苦手とか言ってた気がするんだけど、普通に乗りこなしてませんかね!?

 

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