第34話 清光・虎徹vsバフォメット

 ネクロマンサーの装備品と引き換えに、二人にバフォメットを倒す権利を譲った。


 当然レジェンドガチャを回したかったって気持ちはあるけど、まあ俺は居候の身だからしゃーない。がっついて印象を悪くするのだけは止めた方が良いだろう。



「バフォメットだけ倒してから帰る事にしようぜ」

「だな。小烏丸、途中でミノタウロスがうじゃうじゃ沸くから、それは全部小烏丸にやるよ。斧と魔石は全部小烏丸のもんだ。ただ、角だけは全部俺にくれ。それで麻雀牌作りたいんで」

「ハハッ!ミノタウロスの角で麻雀牌って」

「むっちゃ質の良い麻雀牌が出来るんだよ!まあ象牙みたいなもんだ」

「了解です。お二人の戦い方、見学させてもらいますよ!」

「戦場が滅茶苦茶になるから、障害物に注意な!」



 虎徹さんの転移魔法で、簡単に3階ボス手前の部屋に移動した。


 転移魔法むっちゃ羨ましい。



「今回の作戦は、・・・そうだな。テキトーだ!」

「わはははははは!昔は綿密な作戦立てたのにな!」

「あの頃は俺らも成長途上だったからな。今とは比べ物にならんほど弱かった」

「んじゃまあ、魔法痛そうだから結界だけかけるぞ?」

「そうだな。赤結界で十分なハズだ」

「剣」


 清光さんが頭上に大剣を放る。


「アニキに赤結界」


 清光さんが結界に包まれて、大剣をキャッチした。

 んで虎徹さんも自分に結界魔法を使う。なんかもう、阿吽の呼吸って感じだな。


「準備OKだぞ」

「特攻!」


 二人が駆け出したので急いで後を追う。



 バリバリバリッ!


「うおっ!」


 どうやら二人が魔法をくらったようだ。結界魔法で無傷だろうけど。



 大広場に入るとバフォメットが飛んだ所だった。



『glsdkえrんフォ@fkjズsh』



「小烏丸!出番だぞ」

「え?」


「「ブモーーーーッ!!!」」


 いきなり目の前に、2Mを超える大きさのミノタウロスが10体出現した。


 ・・・いやいやいやいや、展開早すぎでしょうが!


 二人の戦いを見る間もなく、周りは牛まみれだ。

 しょうがないので1体ずつ倒して行く。


 さすがにあの斧をくらったらヤバそうなので慎重に戦ってると、前方の地面から壁がせり上がって来た。


「なんだこりゃあ!?」


 壁の上を、すごい速度で清光さんが駆け抜けて行く。


 更にその奥の上空を見ると、空中に四角いブロックみたいな物が大量に浮いていて、虎徹さんがバフォメットと空中戦をやっていた。


「なんつー派手な戦い方をするんだ、この二人は・・・」


 気付くと、ミノタウロスを倒してるうちに壁が縦横無尽に走っていて、戦場は滅茶苦茶になっていた。


 滅茶苦茶になるとか言ってたけど、本当に滅茶苦茶じゃねえか!


 ミノタウロスを全部倒し終わるのとほぼ同時に、壁が下降して来て地面に吸い込まれた。


「おーい小烏丸!バフォメット討伐したぞ」

「はやっ!」


 俺も、こんな格好だしビームライフル持ってるしで、かなり派手な方だと思うんだけど、この二人の前では地味子さんだったようだな・・・。


 一段落したので、手分けしてミノタウロスの素材を剥ぎ取った。



「ミノタウロスむっちゃ美味いだろ?魔石(中)が一気に10個だぞ」

「たしかに、これは美味しい!」

「んじゃ角だけ全部貰うからな」

「了解」



 回収と分配が終わって、サクッと転移で部屋に戻って来た。



「んじゃ帰る準備が出来たら声をかけてくれ。最後にガチャ回したりするだろ?」

「当然!魔石なんか持って帰ったって使い道無いだろうし」

「魔道具とか持ってたら魔石が必要になるぞ?」


 魔道具?ああっ!


「そうそう!二人に渡しておく物があったんだ!」


「ん?」

「俺もか?」


 小型通信機の子機の2番を清光さんに、3番を虎徹さんに渡す。


「これは通信機の魔道具らしいので試してみていいですか?」

「通信機?」



 ガチャ部屋に移動して、親機の3番を押す。



「あー、あー、聞こえますかー?」


『おお!?聞こえるぞ!これは電話か!?』


「離れた場所の相手と会話が出来る魔道具みたいですけど、実験は成功ですね」


『スゲーじゃん!ガチャから出たんか?』


「ちょっと待って下さい!清光さんの方も実験するんで」


『ういおー』



 ボタンを2番に切り替える。



「もしもーし!聞こえますかー?」


『おお!バッチシ聞こえるぞ。通信機とは凄いな!』


「よし、実験は成功だ。んじゃ戻ります」



 部屋に戻って来た。



「この小型通信機はレジェンドガチャから出たんだ。カプセルは緑でした」


「やっぱりガチャか!流石レジェンドだな!」

「緑でコレとは、地味に大当たりを引いたな」

「その子機の方は、そのまま二人とも持ってて下さい。尾張と三河じゃ連絡を取るのも大変なので」

「なるほど。確かにコレがあると便利だ。何かと役立つだろう」

「尾張を統一したら、すぐに連絡をくれ!」

「ハハッ!任せて下さい」


「ん?でも2階のボスまで倒してるって事は、レジェンドもう一回引いてるよな?」

「ああ、もう一つはコレですよ」


 ビームライフルを手にする。


「あー!それってレジェンドの当たりだったんか!」

「ビームライフルって、一体何色のカプセルだ??」

「確か、金のハズ」

「レジェンドで金引いたのか!すげえな!」

「本当レジェンドって何が出るかまったく想像つかねーよな」


「んじゃ帰る前に、最後のガチャぶん回して来ますわ!」

「小型通信機って魔石を使ってる筈だから、魔石(小)は少し残しとけ」

「なるほど!了解です。5個くらいあればいいかな」



 正真正銘、最後のガチャ大会だ!悔いの無いように本気で行くぞ!

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