第31話 デュラハン

 そろそろ2階のボスを倒そうと、とりあえず偵察に来てみたのだが。



 名前 :デュラハン



 なるほど。何か持ってるなーとは思っていたが、首ですか・・・。

 しかし全身鎧の魔物が相手か。


 アレ、刀で斬ったらポッキリ折れる可能性あるよな・・・。

 でも俺の天国は最強のハズだ。(極)なら鉄をも貫けると思うんだよ。

 ・・・いや、ヤツが着ている鎧が鉄じゃない可能性もあるのか。


 うーん、どうすっかなー!


 でも俺の直感は、アレを斬れると言っている。


 メイスとかを作ってタコ殴りが無難なのはわかっている。

 わかってはいるけど、鈍器系のスキルが棒術だったとしても、悲しいことにレベルがたったの1しかない。

 それを考えると、たぶん丸一日タコ殴りとかになると思うんだよね。


 そんなかったりぃこと、やってられるか!


 よし、俺は自分の直感を信じる。天国の斬れ味を信じるぞ!


 このまま特攻だ!




 デュラハンに近づくと、こちらを向いて歩きだした。

 全身どころか、持ってる頭までもがフルフェイス状態なので、ヤツが何を考えてるのかさっぱりわからん。グレートヘルムとかいう名称だっけか。


 デカい斧を振りかぶったので、素早く懐に潜り込み、心臓に刀を突き刺した。


 ギンッ!


「むっ!?」


 貫通はしたが、鎧だけを貫いた感触しかない。

 中身は空っぽか!?


 ブンッ!


「おっと、あぶね!」


 斧が振り下ろされたが、難なく避けることが出来た。

 攻撃速度は大したことないな。

 まあ所詮は2階のボスだしな。10階を攻めてた俺の敵ではない。


 しかし、中身が空っぽの相手をどうやって倒す?

 全身鎧なだけの魔物に弱点なんて・・・、あ。もしかして首か!?

 弱点故に、大事に抱えてるようにも見えなくもない。


 しかし敵の攻撃を躱しながら長々と考えごとが出来るとは、俺も随分と余裕が出て来たな。

 2年の間ひたすらゴブリンと戦い続けたお陰だ。


 じゃあ行くぜ!トドメだ!


 デュラハンが持ってる首に刀を突き刺す。



『デsfdlkjhがf;dg;;sd@ふイぇmqpzべdtザz』



「なっ!しゃべった!?」




 デュラハンの少し後方に女が数人出現した。




『『ああああアアアアアああああぁぁァァァぁぁぁぁぁぁアアアアアアアア』』




 ゾワッ




 ひっ!な、なんだ??背筋が凍った。恐怖で体が震えてくる。



 ブンッ!


 拙い!このタイミングで攻撃が来るのかよッ!



 体を捻ってなんとか避けた。



「お、おえええェェ」


 気持ち悪い。気が変になりそうだ・・・。

 あの後ろの女共のせいか!?



 名前 :バンシー



 知ってるぞ!この名前!

 泣き声を聞いただけで死ぬとか、ヤバい魔物のハズだ!


 くっそ、先にアイツらを倒さなきゃダメだ!



 いや・・・、待て。冷静に考えろ。

 闇の腕輪のお陰で、なんとか耐えられないこともない。

 そしてアレは間違いなく、死や呪い系の状態異常攻撃だろう。


 それらの耐性を上げるチャンスってのは、今ココにしか無いのだ!

 ピンチだがこれは大チャンスとも言える。


 決めた!耐性が上がりきるまで耐え続けるぞ!






 ************************************************************






 デュラハンの頭を真っ二つに叩き斬った。



【レベルが上がりました】



「ふ~~~。長丁場になったな・・・」



 あれから何時間経っただろうか?ひたすらデュラハンの攻撃を避け続けた。


 ただ避け続けるだけならば余裕なのだが、体や精神が絶不調すぎてキツかった。

 しかし時間が経つにつれてどんどん楽になって行き、今はもうほとんど何も感じないほどにまで耐性が上がりきった。

 つーかデュラハンは倒したが、バンシー共はまだそこで泣いている。

 召喚された魔物だから、デュラハンを倒したら一緒に消えると思ってた。


 こんなんだったら、デュラハンを先にサクッと倒しておけば全然楽だったのに!


 しかしアイツらどうしよう?

 もう用済みなんだけど放っておくワケにもいかんよな・・・。


 危険な魔物とはいえ、泣いてる女を斬るの嫌だなあ・・・。



 本当に心の底からやりたくなかったけど、バンシー達を1体ずつ倒していった。



「煙のように消えたからまだマシだったけど、むっちゃ気分悪いぞ!」


 ホントもうヤダ。・・・ってか大事なこと忘れてた!


 急いでデュラハンの鎧の中から魔石(大)を取り出す。


「あぶねーーー!消えなくて良かったあああああ!」


 これが消滅してたら、マジで洒落にならんとこだった。

 とにかくこれで無事討伐完了だ。


 デュラハンの鎧と斧をリュックに詰め込んだ。


 とにかく疲れたから今日はもう部屋に帰ろう。



 ・・・・・



[デュラハンの戦斧]

 :デュラハン愛用の戦斧。素材は不明。評価A

 :力10%アップ

 :破壊強化(大)

 :衝撃耐性


[デュラハンの鎧]

 :デュラハン愛用の鎧。素材は不明。評価A

 :体力10%アップ

 :斬撃耐性+ 刺突耐性+ 衝撃耐性+



 ボスのドロップ品だけあってやっぱ結構強いな。

 ヘルムは真っ二つにしてしまったので、修理しないと使えん。

 使うことは無いだろうけど、一応お宝なのでとっとくか。


 それよりもやっぱコレですよ!


 魔石(大)を手に持ち、ニヤリと笑う。


 これでレジェンドがまた回せる!

 上手く行けば、赤い流星コスよりも凄い服が手に入るかもしれんのだ。

 こんなに嬉しいことはない。


 ぬ、これは赤い流星のセリフじゃなくて、主人公の方のセリフだったな。



 まあ良いわ!今日は疲れたからメシ食って寝るけど、明日はガチャを回すぞ!

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