第10話 修行の始まり


「えーと、最初は聖水でスケルトンを倒すんだったよな」


 柄杓に聖水を汲んでみる。

 聖水の味が気になったのでそのまま飲んでみた。


「うんめええええええええ!」


 なんじゃこりゃー!?日本で飲んでた水道水とはもうまったく違う。

 今飲んだ聖水で、溜まっていた疲労とかも一瞬にして吹き飛んだかのようだ。

 聖水パワー、なんて凄まじいんだ・・・。


 心行くまで聖水を飲んだ後、柄杓を持ってスケルトンを倒しに移動する。

 巨大ゴブリンの反対側の通路だ。


 このダンジョンはたぶん相当な難易度と思われる。

 1階の時点ですでにあんな化け物ゴブリンがいるしな。


 出会い頭に攻撃されないよう、慎重に進んで行く。


 見えた!あれは確かにスケルトンだ。

 剣を持ってるし一目でヤバイのがわかった。俺が今まで戦ってた魔物とは明らかに格が違う。

 あの二人が強いのも当然だな。こんな所に住んでるんだから。


 しかし有難いことに俺は攻略法を教えてもらった。

 早速アイツに聖水をぶっかけてみようじゃないか!


 そろっと近づいて行く。出来れば気付かれないうちに先制攻撃したい。

 だがじりじりと近づいてるうちに、無情にも骨に気付かれてしまった。


 くそッ!こうなったら攻撃を外さないように、骨を射程内まで引き付ける!

 骨がカタカタしながらこっちに向かって来た。

 正直怖くて手が震える。


 今だ!


 柄杓を振りかぶってスケルトンに聖水を浴びせた。


 ジュワアアアァァァァァ!! カラン


 白い靄とともにスケルトンは消え、剣だけが地面に落ちる。



 す、すげー!一瞬で倒せた・・・。聖水の威力、マジ半端ねえ!



【レベルが上がりました】

【レベルが上がりました】

【レベルが上がりました】

【レベルが上がりました】

【レベルが上がりました】

【レベルが上がりました】



 はい???


 たった1体で・・・、たった1体のスケルトンを倒しただけで、レベルが6つもアップだと!?


 今までの俺の苦労は何だったのか・・・。

 いや、あの苦労があったから二人と出会えたんだけどさ。


 それにしても攻略法が一つあるだけで、こんなにも楽が出来るのか。

 まあ一気にレベルが上がったのは、それだけこのダンジョンの難易度が高いということなんだろうけど。


 おっと、いけね!とっとと剣を拾わないと消滅するんだった!


 剣を拾い上げる。


 この剣・・・、ミスフィートさんに貰った剣より上物じゃね?

 いや、ミスフィートさんの剣の事を悪く言うわけじゃ無いけど、このダンジョンの全てが色々と桁違いなんだ。

 これは今まで経験した常識を取っ払わんとダメだな。これからはこのダンジョンに順応した対応をして行こう。



 とりあえず部屋に戻って来た。


「ハァ~、なんか色々とカルチャーショックだよ」


 あれ?カルチャーショックの使い方おかしいか?

 文明の違いはすでにあの狂った街で体験したが、ここは謎ダンジョンだしな。

 まあそれはいいや。


 骨を倒して手に入れた剣を振ってみる。


 ビュン


 ぬう・・・、悔しいがむっちゃ使いやすい剣だ。ミスフィートさんに貰った剣は、どうも俺に合ってないのかもしれん。とはいえココには鍛冶道具もあるし、この剣を使って刀を作るつもりだがな。

 まあ何個でも簡単に剣が手に入るならば、もうちょいスケルトンから剣を手に入れてから刀を作ることにしようか。

 ココがダンジョンならば、時間が経てばさっきのスケルトンがリポップするハズ。

 少し休んだらまた聖水を持って倒しに行こう。



 ・・・・・



 ジュワアアアァァァァァ!! カラン


 よしッ!2本目の剣ゲット!



【レベルが上がりました】

【レベルが上がりました】

【レベルが上がりました】

【レベルが上がりました】



「ぶはっ!またレベルが4つも上がったぞオイ」


 なんというイージーモードなんだよ!

 こうなったらもう、レベルが上がらなくなるまでこの作戦を続けよう。



 それからレベルが上がらなくなるまで何度も同じことを繰り返し続けた。



 ・・・・・



 名前 :コガラスマル・オダ

 性別 :男

 種族 :人間

 年齢 :19歳

 職業 :なし

 レベル:23


 HP :207

 MP :161


 筋力 :161

 知力 :138

 体力 :184

 素早さ:138

 器用さ:115

 精神力:138

 運  :50


【スキル】

 剣術Lv4 棒術Lv1 槍術Lv1 体術Lv3

 直感Lv1 隠密Lv1 算術Lv6 料理Lv1 鍛冶Lv3


【魔法】

 なし


【固有スキル】

 異世界言語:自動翻訳


【称号】

 なし


【加護】

 なし



「やべえな。初日でもうクッソ強くなってしまったぞ」


 あの二人がダンジョンを薦めて来た理由が良くわかった。

 地上であのままサバイバル生活を続けていたら、肉体も精神もボロボロになった揚げ句、今のレベルになるまで何ヶ月かかっていたことやら。

 取得経験値の計算しないとわからんけど、下手したら数年か?


 とにかくレベルも上がらなくなってきたので、次からはガチバトルだ。

 今日は疲れたから寝ることにして、明日からは刀を作り始めるぞ!


 あ、そういやメシ食ってねえ。

 でも聖水をがぶ飲みしたせいか腹は減ってないな。

 まあいいや。今日はこのまま寝る!


 虎徹さんが自由に使っていいと言っていたので、床に毛皮を敷いて体の上にも毛皮を被る。

 うっは!この毛皮むちゃくちゃ気持ちいいぞ。



 毛皮の心地良さに感動してゴロゴロしてたら、いつの間にか眠っていた。

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