第3話 母なのか姑なのか
最近になって突然母との仲がもつれたのは、弟だけが原因というわけではないのだろうなと思っている。
第一、私は弟には少し申し訳ないことをしたが、母にはしていない。
それなのに母がここまで突然疎遠になったのは、弟が関係しているとしか思えないのだが、その他に、母にも原因があるのかもしれないと思うようになった。
信じたくないし、おそらく病名を言い渡されるほど重いものでもないのだろうけれど、私は母が『若年性アルツハイマー』に片足を突っ込んでいると思っている。
母は結婚してから長いこと、専業主婦で家を守ってきた。
外に出る機会を失い、私のせいでバンドを辞め、外との関わりは私の友達のママと話すことくらいだったと思う。
子供の目線から見ている限り、今の『ママ友いじめ』みたいなことはなかったように思う。
私と友達も仲が良かったし、ママ同士も仲良くお菓子作りを教わったりしていた(まぁ、私はその頃からHSPだったのでよく喧嘩はしたが)。
母は昔から八方美人なので、父の前でニコニコしているのに私の前では父の悪口を言った。
「パパのそこが嫌だと思ってるなら言えばいいじゃん」
と、私は何度も言ったが、母はもともと父に直接言うつもりなどなく、ただ私に悪口を言った。
そのことが、私の父嫌いを加速させることに気付いていたのか否かは、わからない。
自分の味方を作りたかったのだろう。
私が大人になった頃、単身赴任していた父が浮気をしたことを知った母は、そのことを問い詰めるためにも私を使った。
話を切り出すのに、私を使った。
父のことが嫌いだ、嫌いだとあまりにもうるさく言うし、喧嘩も多いので、私と弟から
「もう別れれば?」
と言ったことがあったが、母はそれにも従わなかった。
結局、自分では決められない性格なのだと思う。
離婚を選んで生活が苦しくなったら自分のせいにされるから、それを避けるために離婚はしない。
でも嫌な思いをしなければならないのは、離婚しない自分のせいではなく、子供がいるから離婚できない、=まだ成人していなかった弟のせいということになるのだろうか。
弟が成人しても離婚はせずに、2人で仲良く広い家で暮らしているようなので、自分の人生に責任が持てないだけのおくゆかしい女性なのだろうなと思うことにしている。
そんな母は、私と弟の一件があってから、頻繁にくれていた連絡をあまりくれなくなった。
たまにきたと思えば、
『仕事してるの?』
というLINEだ。
私はコロナ禍で仕事を失ったが、ありがたいことに主人に食べさせてもらっているので特に苦労はしていない。
だから、その母からの質問に対して見栄を張って嘘をつくこともなく、
『してないよ』
と答える。
そうすると決まって嫌な感じに流れてしまうのだが、私が仕事をしていないことで両親に迷惑をかけているわけでもないのに、なぜ
「仕事を選ぶから働けないんだよ」
とか、
「やっていけるの?」
とか、言われなければならないのだろう。
私にはこれが、
『将来、私達の面倒見る余裕はあるんでしょうね?』
と聞こえて仕方がない。
私は長女だが長男ではない。
昔のしきたりが大好きな家系なのだから、そこは長男である弟に甘えればいいだろうと思うが、それを言うときっと、
「あの子は子供がいるけれど、明は子供もいなくて仕事もしてないんだから、親の面倒くらいみれるでしょ?」
と言われると思い、こちらから将来の発信をすることは避けている。
今までのような仲の良さだったら、全然一緒に住むことも視野に入れたが、ここ数年の母を見ていると、こうして少しLINEでやりとりするだけで私の体調が悪くなるくらいなのだから、一緒になんて住めないと思うのだ。
相手が姑だったらよくある話なのだろうが、実の親にそんなに意地悪な質問をされるのは、正直想像していなかったし、ショックだ。
『仕事してるの?』と言うわりに、突然プレゼントの請求をしてこられた話は次回また。
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