教室 〜駆け巡る思い〜

おくもと

第1話

春。出逢いと別れの季節。

今年もその季節がやってきた。

「今日からこのクラスの授業を担当する事になりました。山﨑透です。」

俺は今、教壇に立っている。そう、教師ってやつになったのだ。

大した大人にもなれなかった俺が教師なんて笑える話だ。

教師になると決まった時も友達には「お前にだけは教わりたくない」などとバカにされたものだ。


「今日は最初なので、オリエンテーションがてら自己紹介をしたいと思います。」

そう言った俺は簡単に自己紹介をした。

「以上で自己紹介を終わります。他に何か質問とかあれば答えます。」

チョークを置く音が教室に響く。

すると、

「先生何歳ですか?」

お調子者そうな生徒がニヤニヤしながらそう言葉を発した。

定番の質問である。

「今年で23になります。」

そう淡々と答えた。若いやらなんやらと生徒が少し騒ぎ始めた。


「彼女いますか?」


これも定番である。こうゆうのはテキトーに流すのが楽だ。


そんなこんなで多少質問が続いたが淡々と答え過ぎたためか、すぐに沈黙になった。


(早くチャイムならないかなぁ)

そう思っている時こそ時間の流れは遅く感じる。

きまずい時間が流れやっとのことでチャイムが鳴った。

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