幽霊の正体見たり……?【お盆/蚊/墓参り】
噂に聞くところによると、刺されると患部が痒くなる代わりに腰痛や肩こりなど身体の問題を解消してくれる蚊がいた。
この蚊は人間から重宝がられていたが、とあるお墓の周りでしか飛んでいないという希少種の蚊であった。
だから人間たちはお盆のお墓参りの際に、わざと蚊に喰われて、つらい痒みと引き換えに身体の不調を解消していった。
そしてそれはこの地域の夏の風物詩のひとつだった。
ある日その蚊の効能に目をつけて、蚊を使って金儲けを企んだ男がいた。
お墓の周りでわざと蚊に食われまくり、身体の不調に有効な蚊だけを見つけて、それを捕獲して繁殖させようとしていた。そして『身体に効く整体』と称して金儲けをするつもりだったのだ。
しかしその男、痒い痒いと思いながらも、中々お目当ての蚊を見つけられない。
探せば探すほど、身体中が腫れ上がっていく。腫れは日に日に酷くなっていった。特に顔など、怪談に出てくる幽霊みたいな見た目になってしまった。
夏は盛りにさしかかりお盆の季節になっていた。
その男はお墓参りにやってきた人たちや、肝試しをする人たちの間で一部有名になった。
そう、お盆に現世へ戻ってきて何かを必死に墓で探す幽霊として、一部のマニアに有名になっていたのだった。
おしまい。
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