第39話 蘇りしおばさんの鉄拳

なんでだよ!?


なんで俺が女の子に手を出そうとすると必ず邪魔が入るんだよ?


あれか?

神様はセンシティブな展開がお嫌いか?


いや、そんなことより息が……!


突然のボディブローで呼吸困難に陥った俺は、たまらず床に膝をつく。


見上げると、そこにいたのは見覚えのあるジャージ姿のおばさん。


こ、こいつは……


「こいつは死んだはず、ってかい? そりゃお互い様だろ?」


俺は拳銃で応戦しようと腰のホルスターに手を伸ばす。

その前に、おばさんの膝蹴りが顔面に突き刺さった。


「ぐほぅ……!」


俺は床に尻もちをつく。

同時に、口の中に鉄臭いドロっとした物が広がってきた。


ぐっ、鼻が折れやがった。

なんなんだよ?

いったい何がどうなってるんだ?


ワケが分からないが、とにかく今は戦うしかない。


だが、この距離じゃ拳銃は間に合わない。

俺は決死の思いで身体を起こし、おばさんの腰を目掛けてタックルを仕掛ける。


「遅いんだよ」


おばさんに組み付こうとした刹那、脳天に肘が落ちてきた。


一瞬、意識が飛ぶ。

気が付けば頬が床にくっついていた。


ちくしょう、このおばさん強ええ…。

こうなりゃ奥の手だ。


俺は時間停止状態を解除した。


途端、教室内に女子生徒たちの悲鳴が上がる。


どうだ!

この状況なら警官姿の俺よりあんたの方が敵視されるだろ。


さっさと逃げな。

その間に体勢を立て直してやる。


ところが。


「校長先生、なんですかその男!?」


「早く捕まえてください!」


は……? 校長?


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