第28話 神との邂逅
気が付いたら、俺は真っ白な空間に漂っていた。
は? どこ、ここ?
なんで俺、浮いてんの?
なんで俺、全裸なの?
前後左右上下、どこを見ても白。
太陽も照明もないのに妙に明るい。
いったい何が起きた?
テレビ局からの取材を受けに出かけようとしたら、俺のファンだっていう女が訪ねてきて、家に招いて、お茶を淹れようとしたら急に真っ暗になって……気が付いたら真っ白になってやがる。
ワケが分からん。
夢にしては意識も記憶もハッキリしてるし。
《お前は殺されたのだ》
どこからともなく声がした。
は? 誰?
殺された? 俺が?
《そう、お前はあの女に殺されたのだ》
性別も分からぬボンヤリとした声と共に、小さな光の玉みたいなものが俺に近付いてきた。
だ、誰だよ?
人がいるのか?
《人ではない。神だ》
神!?
《そうだ》
じゃあ、ここは天国なのか?
俺は本当に死んじまったのか?
《天国ではない。この空間に名前などない。ただ、死んで消滅するお前の魂を神の特権で一時的に引き留めているだけだ》
なんで?
なんで俺が殺されなきゃならないんだ?
あの女はいったいなんなんだよ?
《あの女は能力者の一人だ》
じゃあ、あの世界探偵とかいう奴が言ってたことは本当だったのか。
《違うな。あの放送の時点で、探偵は能力者ことを知らなかった。あれはハッタリだ》
でも、能力者は他にいたんだろ?
《結果的にはな》
だったら、なんで能力を渡した時に教えてくれなかったんだよ?
他に能力者がいることさえ知ってれば、こんな簡単にやられなかったのに。
《そのくらいハンデがなければ勝負にならないと判断した。お前に与えた能力は、それほど強大なものだった》
だが俺は負けた。
どうしろってんだよ?
いくら強い能力があっても、敵がいるのか、いないのか、それさえ分からないんじゃ、どうしようもないだろうが!
《探偵の放送を聞いて、他の能力者の存在を疑っていたではないか》
そうだけどさ、3ヶ月も動きがなかったらハッタリだって思うだろ?
どいつもこいつも慎重すぎるだろ!
《それが情報の力ということだ》
……ああそうだな。
で、負けた俺はこれからどうなるんだ?
《どうしたい?》
は?
そりゃ、できるなら生き返ってあの女に復讐したいけど、できるのか?
《できる。神に不可能はない》
マジすか!
神様すげえ!
なんか、タメ口きいてすみませんでした!
これからはちゃんと敬います!
神様万歳!
《それでいい。では、お前には新たな命と共に、新たな能力を与えてやろう。以前の能力とは別の意味で、強大な力だ》
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