世界探偵現る

第6話 挑戦状①


世襲議員殺害事件の後、たまたま難を逃れた世襲議員や地方の世襲議員が次々と辞職し、政府は戦後最大級の混乱状態に陥った。


だが、そんなことは俺の知ったことじゃない。

あれから一週間ほど、俺は派手な動きはせず、金儲けの方法でも考えながらのんびり過ごした。

買い物に行った時に見かけたモラルのない奴を何人か軽く粛清したくらいだ。


ニュースでは事件のことが連日のように報道されている。

鬱陶しいのでテレビを見るのはやめた。新聞も見ない。


だが、ネット上で俺に好意的な記事には目を通した。


テレビや新聞の報道では不可解な事件としか公表されていなかったが、やはり皆気付いているのだ。


悪を粛清する者がいることに。


中でも目に付くのが『リッパー』という呼び名だった。

『切り裂き魔』からきているのが少し気に入らないが、俺はもう社会的には『リッパー』となっていた。


《リッパーは神の遣いか、それとも悪魔の遣いか?》

《リッパー様、どうか我が国にも粛清の雨を!》

《リッパーは地球外生命ではないのか?》


ネット上では様々な憶測、願望、議論が飛び交っていた。

世界が俺を中心に回っているようで悪くない気分だ。


そんな俺の気持ちに水を差すように、ネット画面上にデカデカと緊急速報が映った。



»リッパーに告ぐ


»本日午後8時、ライブ配信でお前に挑戦状を叩き付ける。定刻になったら再び緊急速報を送る。必ず見ろ。


»世界探偵ング



世界探偵? なんだそりゃ?

ングってなんだ? 名前なのか?

読みにくいな。


なんだか知らねえが、この俺に挑戦するとはいい度胸だ。面白い。そこまで言うなら見てやろうじゃないか。

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