第372話 学園長の仕事
例の一件以来、周囲の目が冷ややかなものとなってしまった学園長であったが、最近では、ようやく、その噂も忘れられはじめ、収束に向かっていた。しかし、そんな彼女の元に更なる不幸がやってくるのだった。
「学園長、大変です!ギュラー君が、ギュラー君が学園に攻めてきました!」
なんと、報告に来たリゼランの話では以前、学園で大騒ぎを起こしたギュラーがここに攻めてきたというのだ。
「はぁ?何言っているんですか?どうしてギュラー君が攻めてくるんです。彼のせいで私を見る目はどれも白い目に変わり果てたんですよ。そんな私から、これ以上何を奪おうって言うんですか。」
流石に学園長も意味が分からずに、現実逃避をするが、問答無用で彼女は現場に連れていかれるのであった。
「白い目で見られるのはあなたの日ごろの行いのせいです。ふざけていないで、すぐに来てください!」
学園長が強制的に連れてこられ、確認した現場では既に、学園内にチンピラたちを従えたギュラーが侵入しているところだった。
「ちょ、あれなんですか!なんで、あんなのが学園に侵入で来ているんですか!警備はどうしたんです。」
現実をようやく確認した学園長がリゼランの胸ぐらをつかみ、どういうことかと尋ねるも、彼女にもわかるはずがない。
「知りませんよ、既に駐在所にこの事態を連絡していますが応援がいつ来るかもわかりません。彼は学園長を出せってずっと叫んでいるらしいです。学園長、あなたの老い先短い命でその時間を稼いでください!」
もはや、一刻の猶予もないのだ。リゼランは可愛い生徒たちに危害が及ぶ可能性を考え、学園長と天秤にかけた時に圧倒的に天秤は生徒たちに傾いた。
だからこそ、学園長をとりあえず、囮にして兵士たちを待つことを提案したのだ。もちろん、そんなことをされる学園長は堪ったものではない。
「な・ん・で・で・す・か!私の命はどうなっても良いって言うんですか!」
「はい、変態で白い目で見られている学園長と未来に希望で満ち溢れている生徒達では比べる必要もないと思うのですが・・・。」
「ぐぬぬっ。」
学園長の抗議をリゼランはしれっと反論すると、あまりにも正論過ぎて彼女は反論することができないでいた。
「おい!学園長を出せ、早く出さないと、こいつらをここで暴れさせるぞ!」
しかし、そうしている間にギュラーが声を荒げたため、事態が悪化すると考えたリゼランは学園長をギュラーに売りつけるのであった。
「はい、はい、学園長はここにいます!」
「ちょ、あなた、私を売りましたね!この悪魔、人でなし、変態!」
「はいはい、変態はあなたですよ。とにかく兵士が来るまで時間を稼いでください。あなたは学園長なんですから、学園を守るのが仕事ですよ。仕事をしてください。」
こうして、リゼランに売られた学園長はギュラーに居場所を特定され、彼の鋭い瞳に映るのであった。
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