第351話 宣戦布告
「はっ、お前、なんて言った?」
「だから、嫌だと言ったんです。なんで私がクレハ様を嵌めるようなことをしないといけないんですか?」
ギュラーにとっては学園長が自分の秘密と引き換えにクレハを嵌めないことが不思議でならなかったが、生憎、学園長はクレハの信者と言ってもいいのだ。そんな彼女がクレハを売るなどありえない。
「おい、おい、おい、お前、気は確かか?俺に協力しなければ学園中にお前の本性が知れ渡るんだぞ。それでいいのか!」
「確かに、それは嫌ですけど、クレハ様を売るよりは全然ましですよ。それら私は潔く、諦めます!」
学園長の確固たる覚悟にクレハに続き、彼女までも自分に従わないのかと、ギュラーの機嫌は更に悪くなってしまう。
「もういい!俺に逆らったことを後悔するんだな。お前の居場所は今日からここにはない!」
何を言っても学園長の態度は変わることがなく、見せしめに秘密を全校生徒にばらしてやろうと彼が立ち去ろうとした時だった。なんとこの場にクレハがやって来たのである。
「待ってください、一応言っておきますが、そんなことをすればこちらも盛大に報復をしますよ。」
「あぁ、クレハ様、私の為にいらして下したんですね!」
「何言っているんですか、先ほどから私がいたの、気が付いていましたよね。私がいたから先ほどみたいにかっこいいセリフを言っただけですよね。」
「何言っているんですか、私はクレハ様の存在なんて気が付いていませんよ!」
そう、学園長はクレハの為であれば自分の立場などいとわないといったようにギュラーの問いに答えていたがそれは本心ではない。実は、クレハが近くにいることを理解しており、彼女がこの会話を聞いていたからこそ、出た発言だったのだ。
「てめぇ、いったい何の用だ!」
「何の用って、私は以前、貴方に喧嘩を売られたんですから、その最終警告にやって来たんですよ。このまま、今の態度を悔い改めなければ私は本気であなたの家を潰しにかかります。それが惜しいのであれば、悔い改めてください。今なら多少痛い目を見るだけで済みますよ。」
「ざけんな、男爵家の成り上がり風情が!どっちが上か分かっていないようだな、伯爵家の力をもってすればお前たちなど、いとも簡単に潰すことができるんだぞ!」
「分かっていませんね、どうして私がこの学園の教師としてスカウトを受けたと思っているんですか。私が本気になれば滅ぶのはあなたの家ですよ。
ですが、あなたはどうやら変わりそうにありませんし、私が教師の間に行った事は学園長が責任を取ってくれるらしいので好きにさせてもらいますね。さぁ、学園長、行きましょうか!彼は放っておきましょう。」
「えっ、あぁ、はい。ですが、彼を止めなければ私が少々、マズいことになるのですが・・・。」
先ほどまでは威勢の良いことを言っていた学園長だがクレハがこの場を立ち去ろうとすると一気に態度が変わる。
「はて、別にあなたが変態であることがバラされても問題はないんですよね?ならば良いじゃないですか、放って置きましょうよ。なに、あなたの仇は私が討ってあげますから安心してください!」
「いや~、お願いですから見捨てないでください!」
こうして、クレハに見捨てられた学園長は彼女にしがみ付きながら退場していくのだった。
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