第27話 商業組合の破滅

王妃たちが帰っていった数日後、クレハ商会では王妃が食べていたポテトサラダパンの口コミが広がり大盛況だった。クレハ商会の商品は王妃ですら求める商品であると箔がついていた。また、代官の政令が王妃によって撤廃されたため、その反動でクレハ商会を訪れる人は増えていた。


「ねぇ知ってる?ここのお店の商品は王宮ですら食べることのできない食べ物を売っているのですって。王妃様がじきじきに仰っていたのを何人もの人が聞いたんですって」


「ええ、その話聞きましたわ。それに私たまたま聞いたのですが、王妃様が毎日使いの者に頼んで商品を買いに来るのですって」


「それって王妃様が毎日召し上がるくらい美味しいパンということじゃないそんなパンを毎日食べられるなんてピトリスに住んでいてよかったわ」




しかし、それとは反対に売り上げが下落している店もあった。それは代官が発表した政令に乗じて商品の値上げを行って住民たちに恨まれていた店だ。


彼らは、自分たちから買わなければ何も買えないと住人たちから搾取していたのだ。しかし、今ではその政令も撤廃され、クレハ商会やノイマン商会などで良い商品が買えるため、彼らの店は閑古鳥が鳴いていた。


「あの店の話聞いたか、あれだけ俺たちに威勢よく”言い値で買わなければどの店でも買えない”とか言っていたのに今じゃ誰も来てないじゃないか。まぁ、自業自得だな」


「ああ、聞いたぜ。あの時は散々偉そうなことを言っていたのに今じゃ頭を下げて”どうか買って下さい、このままでは私は野垂れ死んでしまいます”とか言ってるんだもんな。今更おそいっての」




店の中にはあまりにも住人たちに恨みを買われてしまい、店に石を投げられたり、留守にしているときに店を荒らされていたりしたのだ。そんな彼らがこの街で商売していられるはずがなく、早々にこの街を去っていく。


ある商業組合員

「くそ、こんなはずじゃなかったのに、どうしてこんなことに。俺は何も悪くない、俺にしか売れない商品があるなら言い値で売ってもいいじゃないか。それにこれは商業組合も黙認していることだぞ。それなのにあいつら代官が捕まった瞬間に手のひら返しやがって。」


別の商業組合員

「あいつら、俺が物を売ってやらなかったら食べ物が買えなくて飢えていたかもしれないのに、商品が買えるようになったとたんに俺を街から追い出しやがって」


彼らは自分が悪いはずなのに悪くないと信じており、別の街で商売を行うもこの街でのうわさがすぐに広がり成功しなかった。


事実上、商業組合は破滅した。

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