第4話 クリス不動産
「ノイマンさん、この辺で貸家を借りることのできる場所はありませんか?私も商売をしてみたいと考えていますわ。そのためにある程度広い借家が必要です」
「ふむ、商売ですか。それなら人通りの多い場所がいいですね。知り合いに不動産を扱っているものがいますのでそちら宛に紹介状をお書きいたしましょう。クリス不動産のクリスという男を訪ねてください」
「感謝いたしますわ。ノイマンさん」
ノイマンから紹介状をもらい、ノイマン商会を出ていく。
クレハはそのままノイマンの言っていたクリス不動産に向かう。
クリス不動産は小さな店構えだが外装はシンプルで派手さがなく良い店構えだ。
クレハは紹介をされた身であるが、あんまりに変なお店だったらどうしようかと考えていた。しかしながら、ノイマンが紹介するだけあり趣味がいい。クレハはそのまま扉を開けて中に入る。
「すいません、クリスさんはいらっしゃいますか?ノイマンさんの紹介でこちらに来ましたのですか」
「はい、少々お待ちください、私がクリスです。紹介状をお見せいただけますか」
クレハはノイマンから貰った紹介状をクリスに渡す。彼は背の低い青年で眼鏡をかけている風貌だ。ここまで若いのにノイマンに気に入られているなんて、よほどのやり手なのだろう。
「拝見いたしました。なんでも商店用の借家を借りたいとか」
「ええ、そうなんです。いくつか面白い商売を思いついたのでそれで商売をと」
「分かりました、条件としては人通りの多い大通りにある店である程度の広さがあればよろしいでしょうか?」
「ええそれでいいです。予算は年間で白金貨3枚までなら出せますわ」
「予算が白金貨3枚ということでしたら最近大通りで空き家になった物件があります。早速内見しに行かれますか?」
「そうですね。早いほうがいいので早速行きましょう」
クレハはクリスと共に大通りに出ると空き家と札のかけられている空き家を見つけた。
クリスはその空き家に向かっていき、カギを開け中に入る。
中に入ると清掃が良く行き届いており、空き家とは思えないくらいきれいだ。
「空き家なのにかなりきれいなんですね。まるで新品みたいです」
「大切な商品ですからね、定期的に清掃は行っております」
中を見るとある程度の広さもあって商品を並べるための棚やカウンターがある。
恐らく、ここは前にも商店だったのだろう。クレハもその点が気になり、クリスに尋ねる。
「クリスさん、ここは前にも商店が入っていたのですか?」
「ええ、以前の方も商店を開いていたのですが、なんでもお年を召されていたので引退したのですよ」
(以前に商店が入っていたせいか設備も大体そろっていますね。これなら設備投資も少なくて済むでしょう。それに立地もいいので商店としては非常にいい物件です。ここにしましょう。)
「クリスさん、ここに決めましたわ。早速契約をお願いします」
クレハ商会の第一歩が始まった。
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