第2話 国境街ピトリス

今、クレハはライスオット帝国を出てコーカリアス王国の国境街ピトリスに入るために検問の列に並んでいる。

ここは王国で一番の貿易都市であるため検問に並んでいる人の列はかなり多い。

待ち時間が手持ち無沙汰になると思っていたところ、クレハは後ろから声をかけられた。


「失礼、お嬢様は何をしにこの街に?おっと、失礼、見ないお顔でしたので。この街で商会を経営しているノイマンと申します。少々待ち時間が長いようですのでお話を聞きたいと思いましてな。ホッホッホッ」


そう話しかけてきたのは顎ひげのとても長い初老の老人だった。

クレハはいきなり話しかけられ少々驚いたものの商会を経営しているとのことなので商売の話を聞いてくれそうだと、まずは彼に自己紹介を行う。


「ノイマンさんですか、私はクレハと申します。実は私はこの街にビジネスをしにやってきたのですわ」


「ほう、ビジネスですか。その話を詳しく聞かしていただくことはできますかな」


「ええ構いませんわ。実はある遊具に関してアイデアがあるのですが、それを売りたいと思いまして、名前はリバーシといいます」


クレハはリバーシの詳しい遊び方をノイマンに教える。それを聞いたノイマンはうなりながら何かを考えている様子だった。ノイマンは何かを決意したように私に目を向ける。


「クレハさん、私の商会にリバーシの権利を売っていただくことはできますか?」


予想以上にうまく話が進んでいきクレハは思わず笑みが出そうになる。だがここで笑みを浮かべてしまえば交渉ごとにおいて相手に足元を見られてしまうので絶対に笑みを浮かべるわけにはいかない。


「詳しい話をきかせていただけますか」


「ええ、もちろんです。詳しい話は私の商会でいたしましょう」


いつの間にか検問の列はなくなっており、クレハ達の番になっていた。ノイマンと共に検問を抜けるとにぎやかな街並みが広がっていた。いたるところで露店が開かれており、そこら中で商品の売買や交渉が行われていた。昨日までいた故郷のミトに比べるとそのにぎやかさにクレハは動きを止めてしまった。


「クレハさん、私の商会はこちらです。ご案内いたしますのでついてきてください」


クレハは止めていた足を再び動きだし始め、ノイマンの後ろをついていく

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る