自業自得

「あの、、」

「はい、何か御用件ですか?」

「来週社交パーティーがあるの。それに着ていくための服を買いたいのだけれど」

「かしこまりました。どのようなタイプの服がお好みですか?」

「値段はいとわないわ。高級な生地を使っていて、仕立てが良いものはないかしら」

「インターネットでも見たのだけれど、なかなか気に入るものがなくて、、」

「そうですねぇ、少々お待ちください。」


数分後

「今、当店にある在庫を確認しましたらお客様のご希望に合いそうなものがいくつかありましたので、試着いたしますか?」

「ぜひそうさせて頂戴!買ってからあんまりだったら残念だもの」


一着目

「うーん、ダメねぇ。もう少し適度に流行りに乗ったものはないかしら。」

「これだと古臭すぎて人とまともにおしゃべりすることもできないわ。」

「かしこまりました。次、お持ちしますね。」


二着目

「うーーん、やっぱり気に入らないわねぇ。生地に高級感がないわ。」

「それに、何!この仕立て!雑すぎて試着すらしたくないわ!次よ!次!」

「...かしこまりました。次、お持ちしますね。」


三着目

「酷いわ!あなた人の言うこと聞いてたの!?」

「高級感がないのよ!高級感!それに、単純にこのタイプの服は嫌いだわ!」

「お客様、今当店にあるものは以上になりますが、どうされますか?」

「ハァ!?あなた人の言うこと聞いてないでしょ!どれも気に入らないわよ!」

「これだったら、インターネットで買った方が100倍ましだわ!」


女はどすどすと音を立てて店を出た。

「......ご来店ありがとうございました。」


その夜

「昨日一番ましだと思った服が売り切れ!?店で買った方がいいじゃない!」


次の日

「いらっしゃいませ」

「昨日一番最初に見せてもらった服を買ってもいいかしら。」

「それが、ついさっき売れてしまいまして、」

「そんなわけないでしょう!あんな古臭い服どこの誰が着るのですか!?」

「私が着るのですよ、〇〇さん。」

「あ、あらぁ、ごきげんよう△△さん。明日のパーティーの準備はよろしくて?」

「えぇ、おかげさまで順調に。それよりも、私の服がどうかしたかしら?」

「ま、まさか、そんな!ちょうど私もそちらを買おうと思っていて残念だわぁ、、」

「あら!でも〇〇さんはいつも高級で仕立ての良い服を着ていらっしゃるからてっきり個人的に仕立ててもらっているものだと思っていましたわ。」

「え、ええ、もちろんそうするつもりよ。お買い物のお邪魔してごめんなさい、、」

「いえいえ、明日のお召し物、期待していますね!」


このやり取りを見て、店員は陰でこうつぶやきました

「ふっ、自業自得とはこのことね。」

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