第34話 またやってきた
お金に関してはあまり苦労はしていない身ではあるが、さすがにこの金額は予想を遥かに超えていた。
今の会社に入って約5年、寝ても覚めても仕事仕事だった私、そのお陰で貯金はかなりあると自負していたが。
『これは……』
最後にガルムさんが言った木材の金額が金貨5枚というのが多いのか少ないのかわからないけど、こんなにもあっさりと聞けるなんて既に金銭感覚がよくわからなくなっていた。
「ちなみにギルドからの報酬はここで支払うが、王宮からの報酬は明日支払うとの事だ」
『嫌な予感がぷんぷんとする………』
「あとな、ギルドには皇金貨がそんなに多くないから、全て金貨になるが良いよな?」
「あ〜、はい。わかりました」
「じゃあ、しばらく待っててくれや」
そういうと、部屋を出て行くガルムさん。
「はぁ〜、疲れた!! まぁこれで家も買えるでしょう! ということにしておこう!」
10分位たった頃、ガルムさんが他の職員さんと一緒に部屋へ入ってきた。
その手には……。
『げ! これは!!』
大きめの袋が6つ机の上に置かれた。
「一袋に約金貨1000枚入っている」
少し中を見たのだが、ヤバかった……。
お礼をすると即、異空間に全て放り投げた。
「マユミ今のは空間魔法か?」
「え! あ〜はい、そうですけど」
「珍しい魔法が使えるんだな!」
「あははは」
誤魔化しておいた。
「では、私はこれで……」
「これからどこか行くのか?」
「え! あ〜、家でも探そうかと思いまして……」
「家!? 今どこに住んでるんだ?」
「ソフィーの家ですけど……」
『あっ! ヤバ!』
「ソフィー? 誰だ!?」
「王女さんです」
「……はあ? マユミ、お前まさか王族と一緒に暮らしてるのか?」
「……はい、その通りです」
「はぁ〜、そりゃ家も買いたいわな! わかった、じゃあ商業ギルドのギルドマスターに話しておくから行ってみたらどうだ?」
「商業ギルドですか?」
「あぁ、この国の全ての商業を一手に担っているギルドだ。そこのギルド長に聞きゃ一発で良い物件が見つかるぜ」
「わかりました。行ってみます」
「ああ、良いのが見つかると良いな!」
「ありがとうございます」
ガルムさんに挨拶をしギルドを後にした。
「商業ギルドか」
私はガルムさんに教えてもらった商業ギルドへと向かった。
『はずなんだけどね……』
今私はアーク・ドラゴンの背中に乗っている。
商業ギルドへと向かっている際、上空から声がしたのよ。
「マユミ殿〜、マユミ殿〜」
誰かに呼ばれ周りを見るがそれらしき人は居なかった。
『あれ? そら耳?』
「マユミ殿〜、こちらで〜す。上です上〜!!」
『上!?』
その声につられて上を向くと、そこには………。
『げ! なんでいるの?』
上空にいたのは少し前、この街を襲ったドラゴンだった。
ここは街の大通りだ、上空にドラゴンが現れたらね。
街中は大パニックになっていた。
「お〜い、ドラゴンさん!! 皆んなが怯えてるから、どこか場所を移動してもらえませんか? また街を襲いにきたわけではないんでしょう?」
「あっ! これは失礼しました。では近くの開けた場所にてお待ちしておりますので……」
『行く事前提なのね……』
飛び立って行くドラゴン、しかし皆んなの顔には不安な顔を見える。
『はぁ〜、仕方ない……』
みんなに聞こえるように、魔法を使用。
「皆さん、私はマユミと言います。今来たドラゴンは私に用事があっただけの様です。ですので、心配しないで下さい」
『なんて、そんな事で不安が取り除けるわけ………』
「「「おぉ〜!! 女神様だ! 女神様の声だ〜」」」
『………へぇ〜、私の名前結構知れ渡ってるのね』
あのドラゴンは私の事で来たというのを知り、街のみんなは安心した様子だった。
『とりあえず、行きますか……。家探したかったな……』
私はドラゴンが向かった場所へと向かうのだった。
「おーい、来たよ〜」
「お〜、マユミ殿!!」
『相変わらず、おっきい!』
「え〜と、アーク・ドラゴンだよね?」
「はい、アーク・ドラゴンの〝リム〟と申します」
『へぇ〜、名前あったんだ……』
「一体、どうしたの?」
「我が主人である、エルダー・ドラゴンがマユミ殿に来て頂きたい事があるというので、迎えに来たわけでございます」
「へぇ〜、そうなんだ」
「ところでマユミ殿、龍神様は居られるのでしょうか?」
「ランドロス? いますよ」
そういうと、大型犬程のドラゴンが姿を表した。
「おお〜、ランドロス様」
「うむ」
小さいドラゴンの前に大きなドラゴンが土下座してるみたいだな………。
「で、私はどうしたら良いのかしら?」
「あ! すいません、私がお送りさせて頂きますので背中にお乗り下さい」
という感じで、アーク・ドラゴンのリム君の背中に乗っているわけです。
ちなみに、ランちゃんもリム君の背中に乗っている。
『君は飛んだら良いんじゃないかな』
リム君の背中に乗ってしばらく経った。
時計がないので、どのくらい乗ったのかわからないけど。
「マユミ殿、もうすぐ着きますよ」
「おお、やっと着いたのね」
そこは、山岳地帯の開けた場所だった。
そして、そこには見た事があるドラゴンが出迎えてくれた。
「お待ちしておりました、マユミ殿」
「お久しぶりです。エルダー・ドラゴンさん?」
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