第33話 報酬
「う〜にゃ〜、もう食べれないぃ〜」
昨日はランちゃんとポロも一緒に夕ご飯を食べたから多めに作ったんだけど、作り過ぎちゃってお腹がいっぱいになってしまったのだ。
「ランちゃん〜、ポロ〜……」
『うん? あ〜、夢か……』
意識がはっきりとしてくる。
「マユミ……マユミ………!!」
『もう少し、寝かせてぇ〜』
「マユミ〜、起きて! ねぇ〜、起きてってば……」
『……え? 誰!』
さっきとは違う人の声がしたのだ。
ゆっくりと目を開けると………。
「……はっ!!!」
私の眼前に
その顔は、涙を流していたのかグチャグチャなっていた。
『えぇ〜、なんでそんなに泣いてるの〜!! てか、なんでエルがいんの?』
「……あ〜、エル!? なんで、泣いてるの?」
「!! マユミ〜!!」
「おわ!」
エルが泣きながら抱きついて来た……。
『えぇ〜!』
「マユミ、良かったですわ」
「そ、ソフィー? これはいったい……」
周りを見ると……。
「げっ! ここわ、それに皆んな……。どうしたの?」
私が寝ていたのはまたまたソフィーの家ではなく、以前こっちに帰って来た時王宮の一室で寝ていた事があり、今回もまたそこで寝かされて居たのだ。
「ソフィー、今回は何日寝てたの?」
「えーと、2日ですわ……」
「やっぱり……」
「やっぱり? ところでなんの夢を見ておられたのです?」
「え? なんのこと?」
「先程うわ言で、もう食べれない〜って言ってましたわよ」
「あ〜、ははは」
周りを見渡すと、ソフィー、エルの他にも数人控えていた。
「え〜っと、聞こえてました?」
私の質問に対し一様にニコッと笑みを浮かべ「はい!」と返ってきた。
『恥ずかしい!!!』
クスクスと笑う声も聞こえた。
『はぁ〜、やってしまった。それにしても前回の時と同じだ……』
前回も向こうの世界から戻ってきた際、2日間寝ていたと聞いている。
おそらく、向こうの1日はこっちの2日間なのかもしれない。
しかし、こっちから向こうに行った際は1日しか変わってなかったのだ。
『これは早めに家を探さないと毎回ここに連れてこられそうだな……。それに、私の
未だ、私の足元で泣いているエルの頭を撫でる。
『エルってこんなにも泣き虫だったんだ』
「エル、もう大丈夫だから、ね!」
「マユミ〜!!」
「はいはい、よしよし」
「ソフィー、私が寝ている間何か変わった事は無かった?」
「変わった事ですか………。あ! そうですわ、マユミの国王陛下への謁見日が決まりましたわ」
「え!? あ〜、そんな事言ってたね……。で、いつなの?」
「明日ですわ!」
「……明日!!」
「まぁ、マユミにとっては明日ですけど……。2日前に決まりましたからね。」
「あ、そうなんだ……」
その後、泣き止んではいたが未だしがみついていたエルをひっぺがえし、王宮を後にしたのだ。
『エルは、まぁ良いや……』
「とりあえず、ギルドでも行くか」
あの事もあるしね。
「あ、そうだ。あれ見とかなきゃ!」
向こうの世界で異空間に入れた物を確認する。
「どれどれぇ〜、おお! これはこれは、よしよし。そして〜、うん? どこだ!? う〜ん、これか? でも、この大きさ……」
取り出した物を確認すると。
「銀貨?」
一枚の銀貨だった。
「銀貨一枚が1,000円なんだね」
異空間は向こうとも繋がっている事を確認できた事で、改めてギルドへと向かったのだ。
「おはようございます」
「おお、マユミか。久しぶりだな!」
「ガルムさん、おはようございます」
「こんな早くどうしたんだ?」
「この前言っていた木材の件で来ました」
「木材……あぁ〜、あれの事か! で、用意してくれたのか?」
「どこか広い所ありますか?」
「広い所か? なら……」
私は、ギルドの倉庫へと案内された。
「ここなら大丈夫だろ!」
『う〜ん、まぁ良いか』
私は向こうで手に入れた木材、というか木を倉庫内に出していった。
異空間にある物は現物とは違って縮小されている為、どんだけ大きな物を入れても出す時は小さい為簡単に出せるのだ。
『入れる時はポロ達に手伝ってもらわないと出せなかったのにね』
異空間から出てきた瞬間に物の物量が大きくなる為、周りからは私が物凄く力持ちに見えるかもしれない。
最初はガルムさんも、「こりゃ凄い!」と言っていたのだが、私がどんどん出していく為次第に顔色が変わってきていた。
「おい、おいおいおい! マユミ! ストップ、ストップだ」
「? どうしました?」
「どうしました? じゃねぇ〜よ。どんだけ出すんだよ!」
「どんだけって、木100位必要なんじゃ……」
「確かに言った、言ったけどな! 一気に出す奴がいるか! 倉庫がパンパンじゃねぇ〜か!」
「確かに……」
「とりあえず今日はこれで良いぞ! また今度頼むな」
「まだいっぱいありますけど」
「いや、出しても捌き切れねぇ〜しよ、置くところがないわ! てか、こんなにたくさんどこから仕入れたんだよ!」
「あはは〜、それは企業秘密です!」
「企業秘密? なんじゃそら?」
「まぁまぁまぁ」
「それよりちょうど良かった、この前のディノカイザーの件で話があるんだわ」
そう言われて奥の部屋へ案内された。
「改めてこの前の森への調査、あれは一応マユミの昇格試験だったんだが、まさかあんな事になるなんてな。すまんかった、そしてあいつらを助けてくれて感謝する。」
ガルムさんが真顔で頭を下げてきた。
「あ、頭を上げて下さいよ。当然の事をしたまでですから」
「だかよ、下手すりゃお前さんも死んでたんだぞ!」
「まぁ、確かに」
『まぁ、負ける気はしなかったが、あのオオカミが帰って行ってくれたことが良かったかな』
「そこでた、王宮の奴らもお前さんには心底感謝しててな、ギルドの報酬に上乗せすると言ってきたんだ。まぁ当然といや当然なんだがな! もしかしたら、王宮の軍部トップが全て死んでたかもしれんのだからな!」
「………はぁ〜」
「でだ、報酬なんだが。まずは、ギルドからの報酬だ!」
そう切り出したガルムさん。
①ギルド昇格試験において、合格した事の賞金として。
銀貨 10枚
②Aランクではなく、Sランクへ飛び級した事の報酬として。
金貨10枚
③ディノカイザー討伐の報酬として。
金貨500枚
④ディノカイザーの部位報酬。
尻尾の棘✖️3 1本 金貨500枚 計1500枚
牙✖️2 1本 金貨300枚 計600枚
皮数枚 金貨 計800枚
爪✖️5 1本 金貨400枚 計2000枚
他 金貨 計500枚
合計 金貨5910枚+銀貨10枚
「以上が、
この報酬金額を聞いた時……、というか聞いてる最中から私の思考は完全に停止していた。
「そして、次は王宮からの報酬だが……」
そう切り出したので!
「えっ! ちょ、ちょっと待って下さい!」
「どうしたら?」
「まだあるんですか?」
「? 今までのはギルドから支払う報酬だからな……」
「あ〜、そうですか!」
「じゃあ続けるぞ……」
「王宮からの報酬は皇金貨500枚だ!」
「皇金貨!?」
「皇金貨っていうのは、金貨の上の貨幣で金貨一枚の約10倍の価値がある!」
「へ、へぇ〜!!」
「まぁ、その500枚の中でも振り分けがあるのだが、面倒くさいから省かせてもらうな!」
「は、はい。それで結構です……」
「マユミ、お前一生遊んで暮らせるな!!」
そう言うと「ガハハハ」と豪快に笑っていた。
「この国唯一のSランクの冒険者だ! これくらいは貰わんとな!」
「へ、へぇ〜」
「あ! 忘れてたぜ! 木材の報酬だが、金貨5枚だ!!」
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