第2話
ごめんよ。お父さん、お母さん。家族三人でレジャーに出かけていた頃が夢のようだ。どうすればいいんだろう。
「飯がマズい。ガッシャーン!!」
三白眼の中年オヤジが卓袱台を振り回し、手当たり次第に物をピッチングしている。
「ああ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
謝罪したり泣くことしか能がない妻。
車椅子の上で狂ったようにタブレット端末を叩く道楽息子。
だだっ広い館内のあちこちから阿鼻叫喚があがっている。まるで熱帯雨林か原生動物の保護区だ。
「え~こちらのドラ息子。少し違います。特徴は人をイラつかせるコミュ障を実装しておりましてぇ」
肌もあらわなコンパニオンが猛烈に売り込んでいる。立ち止まった客は女性ばかりだ。
「うんうん。全然耐えられるし~」
「あなた、線が太いのねぇ」
可愛い声で感想を述べているのはギリギリ丈の白衣を着た二人連れだ。
「弊社のクソ親父。ラインナップを一新しまして、灰皿の飛距離も大幅アップ~」
「ガツーンと来た。こりゃ利くねぇ」
灰皿を後頭部に食らって感涙しているマゾ男がいる。
「この子、ごめんなさいしか言えないの?」
ヒップに下着のラインが浮き出るようなパツパツのフォーマルスーツを着たアラフォーがくさしている。
「いえ。スライディング土下座とか、挙動パターンをずらりと取り揃えております」
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