魔導士ゲン、最下層のドラゴンゾンビを討つ!パーティーの激震と成長を通じて転生リア充になった件

水原麻以

ドラゴンゾンビの復讐?

「☆♀&~プヲゥタャ%!!!」


一喝すると、ドラゴンゾンビの群れが崩れ去った。刀折れ、矢が尽きた前衛職が驚嘆した。

なにしろ瘴気ただよう腐肉の塊が一瞬にしてカラカラに乾燥したうえ、チリとなって風に消えたからだ。

「おい、先に言ってくれよ」

「サボってやがったのか!」

「あたし達だけ矢面に!!」

「狡いぞサボり魔!」

パーティー全員からこっぴどく叱られる。ここはダンジョンの最下層。歴戦の勇士達のしかばねを踏み越えてようやくたどり着ける場所だ。既にファイターふたりと僧侶が1名死んでいる。

蘇生の呪文もエリクサーも持たない一行に治療職の損失は計り知れない。

残った魔導士に出来る仕事と言えばクレミノの呪文でパーティー全員の視認率を下げたり、メラクで敵の視覚を奪う程度だ。

えっ、支援するしか能がないのかって。

デレンゲを使えば敵モンスター3グループを雪崩で凍死させることができる。

ただ、これは代償がともなう。俺の魔力点を根こそぎ奪うのだ。

コラーサを発動できなくなるほど消耗すればレベル1マジックのパダッカが最後の砦だ。

一声で出発した街に転送される。ただ、失うものが大きすぎる。

パーティーの全財産、全装備だ。防具や武器だけならまだいい。

すべてだ。

衆人環視のなか、泣き叫ぶフェノミナの姿だけは二度と見たくない。しかも彼女の髪が肩まで生え揃うまで俺は恨み言を言われどおしだった。おかげで今も円形脱毛症を患ってる。

おっと、そうこうしている間にご当人のお出ましだ。ツカツカと歩み寄り俺を睨みつける。

「ゲンの馬鹿ッ!」

強烈な右フックを食らった。

「な、なに言ってやがんだ!」

俺は理不尽な仕打ちに憤慨した。

当たり前だ。カラカスが効かなければ、お前らは全滅していた。俺一人だけ帰る事もできたのだ。

「まったく、フェノミナの言う通り、魔導士はバカだよなあ。苦労を知らねえ。剣ひとつ握れやしねえ」

ファイターのカルロスが暴言を吐いた。

「属性の制限があるだろうが。何を言ってやがる。だいたいレベル7マジックは億越えの経験値を積まなきゃ取得できねえってのに」

「その経験点を安全地帯でのうのうと貯めてやがったのはどこのアホウだよ!」

至極真っ当な言い分だ。経験値はリアルタイムで蓄積される。

「俺が間一髪でカラカスを会得しなきゃおめえら今ごろお陀仏だぜ」

「やるのか!てめえ!!」

リーダーのファルコンまで自慢のバスタードソードを振りかざした。


それで、俺はしかたなく叫んだ。


【パダッカ】

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