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 このあと、相手チームの意見に対する批判と反論をする「反駁」に備えるため、各チームに作戦タイムが五分間用意されている。

 一旦録画を止めた陽介は、怜雄をつれて教室の隅へと移動した。

「陽介、どうやって攻めるんだ?」

「正直いってむずかしい。否定派はクラスターをつくらせないためにも中止すべきだといってる。医療現場も逼迫してきているし、ワクチン摂取もはじまったばかり。かりに七月末に摂取完了できても、六十五歳未満の人は摂取してないからね。しかも、打てるのは満十六歳以上だから、ぼくらは打てないんだ」

「まじかっ」

「そのうち十二歳以上になるだろうけど、それはまだ先。今のところオリンピックを開催したとしても、運動会を開催できる保証にはならないよ」

「つまり、俺たち肯定派の主張は通らないってことか。じゃあ、どうすんだよ。このままだと、李厘のヤツに負けちまうじゃないか」

「そうなんだよね……」

 ディベイトの目的は、思考の方法を学び、コミュニケーション能力を充実すること。だから、どちらがより批判的で、論理的で、創造的に思考していたか、コミュニケーション責任を果たしていたかという観点から判定し、勝敗を決定する。

「クラスでやる場合、審判はクラスのみんながするけど、今回はグループ内でディベイトを行っているから、自分たちで勝敗を決めなければいけない。勝機があるとしたら、その辺りかな……」

 陽介は雨音を聞きながら、タブレット画面に表示されているサイト記事を見続けた。

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