アタックスーパートムキャット〜冥府帰りの化け猫が爪を研ぐ

褐色の空は何処までも重苦しく凝血を墨汁で溶いて流したようだ。

「それにしても随分と華やかな地獄じゃないか」

教授はもっと血生臭い現場を想定していた。頭を丸めてヘルメットを被り顔に泥を塗り、汚れた迷彩服に身を包んだ少年のようなあどけない女性兵士が出迎えてくれると思った。ところが艶やかな黒髪を肩に垂らし素足を晒した女がミニスカート姿で軽々と重火器を運んでいるではないか。絶句している教授にローレンシアが耳打ちした。

「量子色力学、ファンデルワールス力が硝煙や臭いから女子を解放したんです」

「じゃあ彼女は慣性制御の魔法でも使っているのかね」

訝しむ教授に女子兵が自己紹介した。

「地獄大陸方面軍広報の楢崎サクヤと申します。お持ちになりますか」

サクヤは量子対物退魔狙撃銃アンチマテリアルライフルを教授に渡して見せた。身構えて受け取るがあまりの軽さに拍子抜けしてしまう。

「これもファンデルワールスか、しかし標準模型でどう説明するのか」

「では、あたしのほうからこちらの見学コースをご案内します」

サクヤはローレンシアの先に立って歩き始めた。

エントランスにこのような看板が飾ってある。

アタックスーパートムキャット〜冥府帰りの化け猫が爪を研ぐ

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