イージス艦が宙に浮く 

「いやはや、参った。戦争が人類を進歩させるという詭弁は私の大嫌いな言葉なんだが、これは認めざるを得んよ」

脱帽する男に胡蝶の妖精は追い打ちをかける。

「まだまだこれからですわ。先生、現代の魔女は箒でなく軍艦に乗るんですよ」

ローレンシアは彼を大型展示水槽に連れて行った。そこはフロアーをいくつもぶち抜いた海原で、実物大のレプリカが浮いている。

「量子戦艦べりぃ。ごく初期に開発された”魔女の戦艦”です」

そういうとむにゃむにゃと呪文を唱えた。ダランベールのパラドックスだ。


 ● 艦艇


 ライブシップの出現による大宇宙航海時代の幕開けは、水上艦艇を三次元海軍へと昇華させる大転換をもたらした。

 戦闘純文学者イザベル・クロンダイクの発明した「戦闘純文学:ダランベールのパラドックス」を適用することで、現行のミサイル駆逐艦やイージス艦、航空母艦、強襲揚陸艦などは、ことごとく気密化と単独大気圏離脱能力を獲得した。

◇ ◇ ◇

 ライブシップ型航空戦艦機動部隊においては、水上の打撃群とおなじく、現有のミサイル駆逐艦が一翼を担っている。

 これは水上においても同様である。艦艇の主戦力はライブシップである。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る