第七世代戦闘機とドラ猫
「それじゃあ、空もガラリと変わっておろう。空気より重い金属が飛ぶなどという人工の魔法に頼らずとも、箒が乱舞しておるのだろう!」
教授がしたり顔で当ててみせると、ローレンシアは少女のように笑い転げた。これらから蘇生人の道案内はやめられない。こういった浦島太郎的なリアクションを彼女は楽しんでいた。
「いえいえ。さすがに魔女も音速では飛べませんよ」
● 航空機
もともとが単価の高いユニットであるし、タイフーンやグリペンなど国際共同開発の成果が配備途中であったため、しばらくは現行の機体が使い続けられる。
しかし、JSF計画はキャンセルされ、特権者戦争後の突破的革新(ブレイクスルー)技術を導入した第七世代戦闘機ミストラルが量産体制に入っている。
また、三日間戦争においてリアル地球より獲得したアタックスーパートムキャット21改が艦隊防空や要撃任務に就いている。
支援戦力としてはF-111BアードバーグやS3バイキングなど専用機種が、マルチロール機では痒い所に手が届かない任務を担っている。
これらも随時、ミストラルの派生型へ世代交代していく予定である。
戦略爆撃においてはB-52Gが未だに君臨している。特権者戦争後、突出した爆弾搭載能力をもつ同機種の重要性は欠くべからず地位を占めている。
のちに述べるが、量子空爆(カノコイ4に登場します)は特権者の確率変動汚染を初期化するために必要なミッションであり、これをこなせ、なおかつ安価な運用コストを維持できる機体はB-52の横に出る者はない。
◇ ◇ ◇ ◇
「ミストラル戦闘機…。フランス語で北風という意味だね」
彼は展示されているアタックトムキャット戦闘機と交互に見比べた。
「三日間戦争、あのフランクマン・ロムルス帝国が”もう一つの地球”世界――私たちはリアル地球と呼んでいます――から、存在しえない機種をもたらしたことでこちらの世界線が大きく変わっています」
ローレンシアの説明はもはや高熱のうわごとに聞こえる。教授は目を白黒させた。
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