マイルプリント柄
「そもそもマイルプリント柄って何だ?」
ファッションにうとい吉田健也は恥を忍んで妹に聞いた。マイルプリント柄という種類はなく思い当たるとすればマイルストーン柄かフェアアイル柄ではないかという。
「北欧調のXや^が羅列したような柄とは少し違う」
美咲が送ってきた画像に「把握した。活断層みたいな模様か」と健也は身も蓋もないリアクションを返した。
「大人コーデって言ってよ。山田仁朗って人はやっぱり肉食なのね」
カメラ越しに妹の笑い声が響く。
「あんまり爆笑すると舎監にバレるぞ」
「こっちは大丈夫よ。消灯時間まで二年生の子の誕生会やってるから」
美咲は両足を投げ出す。セーラー服にハーフパンツという色気もへったくれもない格好で捧腹絶倒する。
「何が面白いんだ。地味な女が理想だったというギャップがおかしいのか」
「まるっきり逆。暗い色は着こなしが難しいのよ。どちらかというと派手な子が…ちょっと待ってね」
あろうことか美咲は背後のクローゼットを開いてフェアアイル柄のセーターと白いプリーツスカートを取り出した。ハーフパンツのまま足を通して穿く。
袖を肘までまくり「こんな感じかしら?」と回転して見せる。ふわっとスカートの裾が上がる。「お、お前…」健也は絶句した。
そして震え声で感動する。「い…いいぞ…ぉおほほほ…」
声を詰まらせ、ワンテンポ老いて美咲を煽る。
「…ぉぉお…よぉおおおし! その調子だああ!!!」
釣り作戦開始である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます