「でも、私だけ助けてくれたなら……」
「でも、私だけ助けてくれたなら……」
あかりが言い終わる前に、私はみとりの腕を掴んで力を少し込めた。
「私は鬼じゃないって言ったね」
「うん………あのね、これは私の意思なんだ」
私が力を抜いたのを見て、みとりは言う。
「ただあなただけじゃない。私の思い描く正義の味方があなたの中にいる」
「私は……」
少女は小さな声で何かを言おうとして、喉を詰まらせて泣き出した。
「………やったね。ありがとう」
私は少女を抱きしめて泣いた。
しばらくして、少女が泣き止む。
「どうして……?」
「だって、私が鬼だって教えることで、みんな私が鬼だって思い込んでくれるかもしれない。それに、私はあなたがそんなことを考えなくて済むように……」
私はそう言って、また抱きしめた。
「私、鬼じゃないよ。人に恋するなんてごめんなさい」
「うん。でも、ありがとう、私があなたのこと守ってあげるから。だから、その、もっと強く、強く、抱きしめて」
「うん」
私は、鬼は弱く弱い動物なのだと思い知らされた。
きっと、私にもっと強い力が欲しかった。
もっと、もっと強くなりたかった。
そう思って、私の家を飛び出した。
この鬼たちとの物語はここからが本命。
鬼に恋した
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