「国民の皆様、初めまして。
「国民の皆様、初めまして。私が日本初の人工知能政治家『国民政党』です。有権者の過半数の支持をいただきまして、当選確実となりました。これからは国民のために一生懸命、汗をかきたいと思います。私に汗腺はありませんが(笑)」
人工自民党議員、
そもそもは、だ。
歌って踊ってチェスに勝てる。凡庸な人々はAIをそのように捉えている。数学の難問に関して何か得体の知れない怪力を発揮するが万能ではない。飛沫の拡散など「判り切ったこと」を「わざわざ」計算してくれる高価なオモチャ、程度の認識だ。人間の損得勘定は残酷だ。支出に関して極端な見返りを期待する。スーパーコンピューター富岳を巡るSNSの嘲笑がそうだ。
「税金を使ってまでわざわざ計算することか?癌の新薬や地震予知など『他の優先事項』があるだろうって言うんですよ。生活に結びつく研究成果を求める癖に」
大浴場の防水カラオケ装置をメンテしに来た小鞠は理研職員の愚痴を代弁した。それが博士に発明のヒントを与えた。
「おもしろい! では、もっと『コンピューターのむだづかい』をしてやろう」
狂科学者の好奇心ほどたちの悪いものはない。それに爆死寸前の支持率回復を願う政府与党の思惑が便乗し補欠選挙にAIが立候補することになった。
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