『鳴り響く音はどこから?』【紫桃のホラー小説SS】


『深夜の警報』

   作:紫桃




 眠りに落ちる直前――意識がぼんやりとしていて幸せな感覚に包まれようとしているときにソレは鳴り響く。



 ピョ! ピョ! ピョ! ピョ! ピョ!――



 階下の駐車場? それとも隣家の車?

 どこかは知らないけど、とにかく早く音をとめろ。

 うるさくて眠りの邪魔だ。


 あと少しで眠れそうだったのに、突然「ピヨ! ピヨ! ピヨ!」と防犯ブザーが鳴りだした。深夜に迷惑だろっ!


 しばらく経っても音はやまない。

 眠くて体が重いから、わざわざ起きてベランダへ出て確認する気にはなれない。


 これで三日連続じゃないか?


 自分が眠りにつきそうな瞬間から鳴り出すこの警報。

 高音だからかなり不快で、深夜だからよりうるさく聴こえる。


 これは安眠妨害、近所迷惑だろう?

 持ち主、早く音を解除してくれないか!?


 いらいらするけど睡魔には勝てない。



  ピヨ! ピヨ! ピヨ! ピヨ! ピヨ! ピヨ!



 怒りながら眠りに落ちていく。意識が途切れる前に疑問が浮かぶ。


 眠りに落ちそうになると音が鳴り始める?


 そうか……連日警報が鳴っても……

 住民から…怒声がないの…は……

 ほかの…ひと…には……聞こえ…てな……






_________

 紫桃が執筆している SS ショートストーリー

 『眠りを妨げる霊たち』より


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