第12章 さくらへの誓い 【1】

 その後、何事もなく中央病院東側の駐輪場の一角に滑り込んだ俺は、大急ぎで救急外来の受付に駆け込んだ。窓口で「白石しらいしさくらに面会に来た」と告げると、1分と待たずに大春おおはる医師が顔を出してくれた。

「やあ、西浦にしうらさん。ようやく白石さんの状態が安定してね。とは言え、まだ意識は戻っていないから、今日のところは5分で勘弁してください」

「いえいえ。5分とは言え、お時間を作っていただいてありがとうございます。少なくともさくらには、『生きていてくれて良かった』とは伝えたいと思っていたので」

「そうか。それなら心配はなさそうかな? それじゃあ、白石さんの病室まで案内します」

「お願いします」

そうして俺は大春医師の案内の下、さくらの病室へと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る