第10章 さくらとの出会い 【7】

 運の悪いことに、通り魔の犯行現場は東口の駐輪場近くの路上だった。

「うわっ!?」駐輪場から出ようとして、俺は慌てて足を止めた。何と、駐輪場の出口のところに規制線が張られていたのだ。

……マジか。ここ、場内一方通行なんですけど!?……

 すると、規制線の向こうにいた警察官がこちらに気付いて話かけてきた。

「どうされました?」

「どうされましたも、こうされましたもないですよ、お巡りさん。ここの駐輪場、場内一方通行なんですけど……」

「ああ。どうもすみません。実はこの先の路地がまだ検証中でして。ご迷惑をおかけしますが、何とぞご協力願います」

「……先輩、もう少し後ろ、下がってもらえます? 仕方がないんで、入り口から出ましょう。そのためには、俺は自転車ごとUターンしないと」

「お二人は、大学生さんかな? こんな日だから、早いところ帰んなさいね」

「はい」「分かってます」と俺たちはそれぞれに返事をして、駐輪場を後にした。

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