第9章 新町通にて
スマホのナビアプリに導かれ、俺は
……自転車に乗ってて良かったかもな……
距離のある場所を徒歩で探し回るのは、愚の骨頂と言っても過言ではないだろう。
……さくら……
俺は横断歩道の周りに気を配るようにして、新町通を東に進み始めた。
幸か不幸か、1つ目の横断歩道周辺には、何もなかった。2つ目も。3つ目も。
そうして、10番目と11番目の信号機の間に当たる交差点まで来た時、俺は探し物を見つけた。
縦横4本の横断歩道を囲むかのように設置された交通事故の目撃者を募る看板だ。
看板には、次のような文言が書かれていた。
『令和◯年△月□日 (火) 14時00分頃
この場所で、歩行者(女性)×大型トラック の事故が発生しました。
この事故を目撃、または知っている方は、左記までご連絡ください。
A県警察 高空署 交通課 tel○○○-○○○○-○○○○ 1班』
看板を2度読み返し、俺は唖然とした。
平日のドっ昼間に事故って逃げるかなんかするとは、太いにしてもほどがある。
「……さくら……」
俺の脳裏には、『故 白石さくら儀 葬儀式場』の文字と、昨夜の電話のキキキキキーッ‼︎ ドーン‼︎が蘇り、またしても心拍数が上がるのも感じた。
「……」
だが、あんな結末は絶対に迎えたくない。
だから……。
待ってろよ、さくら。必ず俺が真実を明らかにしてやるからな!
俺は目撃情報の看板の前でそう誓った。
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