文学なんて大嫌い

加藤 良介

文学なんて大嫌い

 私は文学が嫌い。

 気取った言い回しが嫌い。

 醜い内面を、さらけ出すのが嫌い。

 格好つけた、上から目線が嫌い。

 私に向かって、話しかけてくるのが嫌い。

 国語の授業の、意味不明さが嫌い。

 間違えた問題の、正解を聞いた時の違和感が嫌い。

 改行しない、ぎゅうぎゅう詰めの文章が嫌い。

 肖像写真のドヤ顔が嫌い。

 行間からにじみ出てくる、匂いが嫌い。

 文学を騙る連中が嫌い。

 お母さんに、読めと言われるから嫌い。

 主題の答えが無いのが嫌い。

 男と女のドロドロが嫌い。

 私、賢いでしょうアピールが嫌い。

 社会の役に立たないのが嫌い。

 自殺するのが嫌い。

 貧乏なのが嫌い。

 悲しいのが嫌い。

 頭が奥がしびれる感じが嫌い。

 読んだ後の、目覚めた感覚が嫌い。

 私は文学なんて大嫌い。



      終わり

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