等しくお前らは輝くから。
@karakara4211
何かを残せば、生きていた証明になるのか
星が、いつからか嫌いになった。子供の頃はキラキラと夜空に浮かぶ点を見て、綺麗だと感じていたと思う。けど、今はその綺麗さが鬱陶しいとも思うし、悲しくもなる。勝手に人の頭上で輝かないでほしい。その下にいる、僕にとっては非常に迷惑だ。こんなことを考がえるのは、僕の心がひねくれているからだろうか。それとも、単にまぶしすぎるからだろうか。
星は、人間と似ているようで、似ていない。と思う。
どこが似ているのかと言われれば、先ずその数の多さ。無限ではないが、無数に存在する。億という単位は言うだけなら簡単だが、想像してみると途方もない数字だと言える。また、全く同じ星がないところも似ている。人間だってそう。世界には自分とそっくりな人が三人いると言うが、同じ人物が二人いるわけではない。星もそうだ。形も大きさも全く同じというものはない。色については星の場合、種類が限られはするものの、違う色の星が見られるし、そこについても似ているんじゃないだろうか。
星と人間は、似ている。では、似ていない部分は?
世界という名の空間はとても狭く、理不尽だ。人が一人として輝ける瞬間なんて、一生にあるかないかだ。短い時の中で、僕たちは輝かなければならない。一生に一度ぐらいで訪れるチャンスを、僕たちはつかまなければならない。そのために、僕たちは
勉強しなければならない。
運動しなければならない。
仲良くしなければならない。
努力しなけれなならない。
知識をつけなければならない。
健康でなくてはならない。
食べなければならない。
寝なければならない。
受からなくてはならない。
異常でなければならない。
狂ってなければならない。
変態でなければならない。
同じでなければならない。
死んではいけない。
この世には、当たり前のようにこなさなければいけないmustが、無限に存在する。一つでもそれから背をむけると、その先には地獄が待っている。後悔と懺悔、苦痛と劣等、あらゆる痛み、苦しみを持って、それと向き合わなければ、ならない。彼らに罪はあるか?
ないだろう。なにも悪いことをしていないのに、輝きは失われた。いい子でいたのに。
でも。それは、何もしなかったから。ああ、そういう意味では、罪なんだろう。怠惰とは、よく言ったものだ。
ゴメンね。でも、わかっているって頭で言い聞かせるだけではダメなんだ。ここにいる以上は。つらい思いをしないとね。
君は怠らなかったかい?僕は怠った。
努力、勉強、知識をつける。
面倒なことは全て無視してきた。
だから、僕は輝かない。光を放つことができない。死んだようにこの
勉強をしなかった?
運動しなかった?
仲良くしなかった?
努力しなかった?
知識をつけなかった?
健康ではなかった?
食べなかった?
寝なかった?
受からなかった?
異常じゃなかった?
狂ってなかった?
変態ではなかった?
同じじゃなかった?
うん・・・
結局・・・
僕たちは”しなかった”者同士・・・だね。
僕は、星が嫌いだ。
何もしなくても、自分で輝くあいつらが。
いるだけで輝くあいつらが。
いつでも、どこでも、輝くことができるあいつらが。
とても、嫌いだ。等しく輝くから。
ひねくれているわけではない。まぶしいからではない。
ぼくが。
ぼくがわるいんだ。
これ以上、もうこれ以上は輝くな。迷惑だろう?光を放ち続けて。
とてもまぶしい。
等しくお前らは輝くから。 @karakara4211
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