モンスターズ☆

きりん

第1話 ダンジョンへ

仕事中だった俺は気がつけば意識を失っていたようだ。

そして次に意識を取り戻すとデスクの上で白目を向いてる自分に出会った。


「えっうえぇ。どゆこと?」


壮絶な顔だ。

てか、これホントに俺か?

つついてみたりくっついてみたりしてみたが、これアカンやつや。

これが最後の俺の顔か。

魂ってものはホントに抜ける物なんだな。

初体験だ。

さすが10日間連続、徹夜はいかんと。

確かに7日目ぐらいから、やたら耳鳴りすごいし、幻聴とか幻覚あったしな。

あそこが寝時やったか。


さて、んなこと言っても仕方ないし、霊界?に行きますかね。

なんでか知らんが、場所もわかるし。

てか行けと言われてる感じがする?


…………………………


霊界。


空は雨雲のような濁った雲の中にいるようで、濃霧が掛かったように視界が悪い。

3メートルほどの道幅で先は見えない。

時間の感覚がいまいち掴めず、何分か何時間かあるいは何日かひたすら続く道を辿った。

長い長い真っ直ぐな1本道を辿ると、石の壁が見えた。

目的地についたと分かった。

上が見えないほどの高さ、地平線まで続いているかのような横幅。城や城壁なのかもしれない。

扉を開けて入る。

そして入って驚いた。

ジャクと豆の木に登場する巨人の家のようだ。

天井も広さも人も机も棚も本もすべてでかい。

唖然としていると目の前に座っていた人に、声が掛けられた。


「お主はわしの声がきこえているかのぉ??」


デカイ何かから声を掛けられて、ようやくでかい人だと、わかった。

非現実過ぎるからだろうか。

全然人に見えなかった。

巨人はこちらを観察しているようだ。

田舎から初めて都会に出てきた人みたいになっていたのだろう。


「めずらしいのぉー何十年ぶりかだぞ。わしは閻魔だ。少し待て」


そう言って書類らしき物を、めくっている。

この人がよく物語とかに出てくる閻魔らしい。

確かに角が這えていて、顔の半分は髭だ。

顔は怖いが、目がクリクリしていて可愛らしいのが意外だ。

上等そうな着物のような服をきている。

しかしめずらしいとは、どういう事だろうか?

待てと言われたので待つ事にした。


「お主その若さで過労死だと??いったいどうしてそうなったのだ?」


どうやら死因も分かり、死因が気になるようだ。

謎書類に記載でもされていたのか。

細部までわからないなら答えるしかないのか。


「ほぼ徹夜で10日ほど仕事をしていました所、気が付くと、このありさまでして、なんとも・・・」

「ほぅ。貴様同業者か。ヌシとわしは同じ境遇よのぅ。わしも神にこき使われて、もう4日目になる」


どうやら地獄の閻魔様の社会も相当ブラックだ。

しかし神ってホントにいたんだね。

夢落ちとかじぁないよね?

てかそれは自分が一番分かってるのが辛いとこか。

まーでもお友達に会えたような気がして、うれしくなってしまったのは確かだ。

働く男の辛さは身に染みております。


「10日経つと魂抜けるので、気をつけてください」

「そ、そうだのぅ…まだ溜まっているが、ん~お主で一度切り上げるとするわ」


うんうんと頷いておいた。


「しかし分かっておるだろうが、ここは転生する場だ。お主、望みはあるか??」


これは大変嬉しい申し出だ。

天国か地獄かへの片道切符かと思ったが、どうやら違うらしい。

転生といえば生まれ変わるって事か?

あまり考えた事はないが鳥になりたいっていえば成れるやつのような気がする。


「あまり考えた事がありませんでしたが、楽ができて自分が王様見たいな感じ?ですかね。短絡的ですいません。動物は嫌です。出来たら人でお願いしたいです」

「うむ。なるほどのぅ。他にはあるか?」


閻魔様はどうやら優しいようだ。

少し考える。

転生とは驚きだが、現代社会は正直もう嫌だ。

転生してまで働きたくはない。

それなら昔好きだったファンタジーのような世界はあるのだろうか。

太陽が沈んだら寝る。最高だろ。


「地球以外で、たとえば剣と魔法のファンタジーの世界はありますか??」

「あるぞ」


あるみたいだ。


「それならそれでお願いします」

「即決、誠に結構。助かるぞぃ」


閻魔の口角が上がる。

他の転生者は決めるのが、遅いのかもしれない。

普通はこれからの自分の事を決めるのだから、当たり前といえば当たり前だろう。

自分でもサクサク決めすぎだと思うが、閻魔様は働き出して4日だ。

大分辛い時間帯だ。

おすのはよくない。

ならば日本人特有の空気を読むしかない。


「昔から即決が得意です」


「そうかそうか。しかしお主は他人事な気がせんな。何か楽をさせてやりたいのぉ。


「ダンジョンマスターは、どうじぁ?ちょうど一つ枠も余っているし、人気職だ。楽ができて王様みたいだぞ?ついでに記憶とボーナスも忘れずつけてやるぞ?」


さすが心の友。助かる。

ダンジョン系は昔からゲームでやっていたし、作っていく方なのは正直楽しみだ。

マスターなのだから経営者みたいな感じだろうし、たしかに働き続ける事はなさそうだ。

記憶とボーナスまでくれるのだから、ここももちろん即決だ。


「是非やらせてください!」


「くっくっくっ。分かった。ではこれからお主はダンジョンマスターだ」


そうして閻魔が、書類に判子を押して、俺の意識は遠のいていった。


____________________


目を覚ました。

あえせ言わせてもらおう。


「知らない天井だ」


まー暗くて見えないが。

意識は意外にしっかりしている。

起き抜けのだるさもなくブラック会社で働いていた時にはない爽快感だ。


「しかし真っ暗で何も見えないし、どこだよ」


漆黒の夜より暗い。

完全に光という光が遮断されている空間にいるかのようだ。

床を触ってみると、冷たくひんやりした。

石だろうか?

しかし閻魔様が言ってたダンジョンマスターってのは、暗闇で生活するようなやつなのか?

とゆうかダンジョンマスターって何??

え・え?え!??

閻魔様。説明忘れとるぞ…

しかもボーナスもわからな・・・・


脳内にパソコン画面みたいなのが、浮かんできていた。

なんとも言えない状況に戸惑いながら意識を集中する。

アイコンは、自分の意思しだいで動かるみたいだ。

初めてもの感覚に戸惑うが、暗くて目も慣れてないので、画面を見る事に集中する。


【ボーナス】

☆ステータス

HP   LVUP時、上昇率アップ

MP   LVUP時、上昇率アップ

DP   LVUP時、上昇率アップ

LP   LVUP時、上昇率アップ

ST   LVUP時、上昇率アップ

INT  LVUP時、上昇率アップ

DEX  LVUP時、上昇率アップ

MDEX LVUP時、上昇率アップ

AGI  LVUP時、上昇率アップ

LUK  LVUP時、上昇率アップ

☆魔法

火炎魔法 全種類の火炎魔法習得 

氷結魔法 全種類の氷結魔法習得

雷魔法  全種類の雷魔法習得

土魔法  全種類の土魔法習得

☆特殊魔法 特殊スキル

魔力剣   魔力の刀。

魔力砲   魔力のビーム。

ワープ   一度行った事のある場所に飛べる。

ルーム   別次元に部屋を作成移動できる。

マインドコントロール 他人を支配下における。

サイコキネシス  不思議はパワーを出す事ができる。 

変身       完全に偽装できる。

ブースト     一定時間、自身を強化ができる。

アイテムボックス  4次元ポケット制限なし。

リジェネレート  一定時間、20%の回復。

☆技能

武器適正 武器を使用する際に使い方がわかる。

隠密   完全に存在を消す。

千里眼  どこまででも見る事ができる。

自己修復 自然回復上昇。平均2倍速。

五感強化 より鮮明に感じやすくなる。

ステータス 自身や仲間のステータスを見ることができる。

☆召喚

精霊召喚 精霊を召喚する。

悪魔召喚 悪魔を召喚する。


どうやら、ボーナスと考えた時点で反応したようだ。

よくわからないが、色々あるように思う。

よくよく見てみると、どれも目移りしてしまうほど良さそうな物が多いか?

地獄の閻魔クオリティなのかもしれない。

なかなかいいのでは、ないだろうか。

一番下まで行くと項目の下に、閻魔からの追伸とあった。

さも当たりかのように主張しているな。

閻魔からの追伸をクリックしてみた。


____________________


閻魔です。

まずはダンジョンマスターおめでとう。

追伸内容です。

①現在貴方のいる迷宮ダンジョンは、未開発で生命は存在していません。

迷宮ダンジョンはダンジョンマスターが生きている限り再現なく深く広くなっていきます。

②ダンジョンマスターには、《魔獣作成》《ショップ》の特殊魔法が取得されてます。

《魔獣作成》では、LPを使って召還します。

どこまでも長く深く誰にも攻略されないダンジョンを作りましょう。

③迷宮内で引き返す際のポータルを設置してください。

初級ダンジョンとして1階層~5階層まで世界から干渉され、補正がつきます。

中級ダンジョンとして6階層~10階層まで世界から干渉され、補正がつきます。

上級ダンジョンとして11階層~15階層まで世界干渉され、補正がつきます。

迷宮のランクが上がっていくと略奪者のレベルも増大していくので、ご注意ください。

15階層以降はフリースペースになります。

④ダンジョンは五日間でシールドが解けるようになっています。

大規模な拡張や整備をする時は、シールドを張っておくのをオススメします。

⑤ダンジョンマスターが死んだ場合、迷宮は未開発の状態、生命が存在しない場所に戻ります。

ps

ボーナスは階層を増やすたびに、1つだけ取得できるようにしておいたぞ。

初回限定で3つ選べるので、好きな物を選んでくれ。

ボーナスは1度とると変更が出来ないようになっておる。

よく吟味し選択するのが、いいと思うぞぃ。

それと略奪者の中には、人族も含まれておる。

前世でいう同属殺しになるが、殺らねば殺られるので頑張ってくれ。

それとな、もうサトシは人ではないぞぃ。

見た目はほぼ同じだが、中身は別物になっておる。

初めは戸惑うだろうが、頑張るんだぞぃ。

応援しておる。

それではまた連絡するわ。

あー睡っ。

close

_______________________________________


・・・何が頑張ってくれだ。

突っ込む所だらけで、どこから突っ込むべきか。

もう少しブリーフィングがあっても良かったのではないだろうか…

しかしも俺は現在、人ですらないのか。

別に今の所は、問題もないし大丈夫なのか?

いやでもしかし、人間がダンジョンに攻めてくるとか聞いてないぞ。

いやいや、見た事もない赤の他人が死のうが知った事ではないのか?

うーむ。

たいした問題じゃないように思う。

ファンタジーならありえる…か。

だいたいのファンタジーに出てくるダンジョンは、最新部にボスがいて何かしらのアクションがあるかレアアイテムのドロップだろう。

普通で考えればダンジョンは、攻略する物であって、死ににくる場所ではない。

当たり前だ。

というか攻略される=(イコール)死。なのか?

現代社会では軽く死んでしまったが、転生してすぐ死ぬのは嫌だ。

人類に滅ぼされてたまるか。

現代でも、みんな口には出さないが弱肉強食だった。

弱いやつは死に、強いやつが生きる。

特にそこには変わりはないだろう。

そーゆー事だろうか?

しかも、今回は自身の記憶とボーナスまで貰えている。

やるしかないか。

やるしか。

ふふっ。

なんかのってきたぞ?

ダンジョンを、作ってやろうではないか!!

目移りしてしまうボーナスは、ひとまず放置だ。

ダンジョンマスターの特殊魔法を見てから、必要なボーナスを選択したい。

closeを押して《魔獣召喚》《ショップ》を見てみよう。

またも脳内にパソコン画面みたいなのが、浮かんできていた。

アイコンも、自分の意思しだいで動かせる。


《魔獣召喚》

ゴブリン   LP10

スライム LP 10

スモールドック LP 10

《ショップ》

資源

シールド 1日 100エメラルドを消費。

エメラルドを消費してDPを獲得。

DPを消費してLPを獲得。

落とし穴1~5 DP変動

羽根飛び DP100

塗壁 DP100

隠し弓矢 DP100

隠し爆弾 小~大 DP50~500

ダミー 宝箱 DP100~500

武器

こん棒 DP 10

銅の剣 DP 100

鋼の槍 DP 500

鋭いキバ DP 30

弓 DP 30

弓矢 DP 1

施設

DP保管庫 LP 100

LP保管庫 DP 100

魔獣研究所 DP 1000

階層研究所 LP1000

木の牢屋~鉄の牢屋 DP変動

木の宝箱~鉄の宝箱 DP変動

生活品、日用品、雑貨 DP変動

食料、飲料水 DP変動


うんー

なんか難しい。

はっきり言って、よくわからんな。

てかさっきから出てくるDPとかLPとはなんぞや?

今いる場所にも目が慣れてきたからか、見えるようになってきた。

部屋は1Lぐらいかな。

なーにもない、石で覆われた部屋だ。

出口なし。

風呂もテレビもトイレもない。

どうしろと!?

まーDPなるものを使えれば、揃うんだろうけどな。

ぬぬー!!!!

これはボーナスをとれって事か!!

閻魔めー!こういうのは、とっとくタイプの俺に初めから選択させようとはー!!

閻魔さん、策士!!


まーそれは、いいか。

なら《ステータス》と《ルーム》と《千里眼》を、とりますかね。

どっちにしてもシールドが切れて、ダンジョン内に、敵が来ても対応は、出来ないだろう。

最初っから武器を持って、戦う勇気とかないし。

もち配下任せっしょ。

で別次元からゆっくり観戦って所だね。

確かにやる事なくて、王様みたいな感じではあるな!

閻魔よ、ありがとう。

って事でまずは、《ルーム》にて、部屋を作ろう。

《ルーム》は別次元に部屋を作成移動できる。となっている。

兎に角、やってみるか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


それで、やってみた感じ、《ルーム》と想うと、次の瞬間には、部屋にいた。

瞬間移動ってこんか感じか?

って所だった。

《ルーム》内は、なんと言えばいいのか、アパートの一室って感じだ。

部屋のライトが付いてたから、すぐに場所が変わったのは分かった。

なので取り合えず、生活出来るように整えようと思う。

キッチン、トイレ、風呂場を召喚し、電子レンジ、炊飯器、冷蔵庫(冷凍庫つき)、掃除機などの電化製品。ベッド、机、椅子、スリッパ、枕に布団などを召喚した。

雑貨なども、食器やらコップなどを召喚した。

まー色々だ。


一息ついた所で、《ステータス》を見てみる。

やっぱりなのか《ステータス》に現在のDP乗ってた。

4000だと。

この間で使ったDPは1000ほどかかったと思う。

生活品を一括で支払ったにしては、安くついてよかったのか?

やたら高いベットなどもあったが、1ルームにあう大きさの物にしたし、節約も大切だ。


DPが、勿体無いしね。

《ステータス》には、残りDP4008となっている。

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