第6章 11 嫉妬?
チン…
ヴィクトールとの会話が終了したスカーレットは受話器を置くと、ソファに座っているアリオスの元へ向かうと言った。
「アリオス様。お電話ありがとうございました」
そして頭を下げる。
「いや、別に礼を言わなくても大丈夫だ。それで‥‥どんな話になった?」
「はい。お父様たちは今夜遅くに『ミュゼ』に到着します。駅の真正面にあるホテルを手配したそうで、明日の11時にホテルのロビーで待ち合わせをする事になったのですが…宜しいでしょうか?」
スカーレットは遠慮がちに尋ねた。
「何を言っているんだ?いいに決まっているだろう?カールの明日の授業は休んで貰って構わない。それよりもホテルで待ち合わせ?ここに来てもらった方が良いのではないか?」
「アリオス様…ですが、それではご迷惑では…?」
「迷惑なんて…そんなはずはないだろう?」
むしろ、迷惑だと思われる方がアリオスは辛かった。そんな言い方をされるとスカーレットと自分の間に壁が出来てしまったかのような気持ちになってくる。
「アリオス様…」
「明日、当然ブリジットも一緒に行くだろうが…俺も一緒に行って構わないか?是非ご挨拶させて貰いたい。」
「え?ですがお仕事がお忙しいのではありませんか?」
「大丈夫だ。心配には及ばない。第一俺には優秀な秘書がいるからな」
アリオスはザヒムの顔を頭に思い描きながら言った。
(ザヒムには…後で恨み言を言われるかもしれないが… やはり心配だからな…)
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