第319話 高知市からの脱出
思ったよりも早く高知駅前に到着し、駅の構内へと移動する。
すでに日は、沈みかけており時刻は、午後18時を回っている。
「券売機は、これか……」
券売機を確認すれば、Suicaも取り扱っているようで、すでにサービスが導入されているのが見て取れた。
そんな中で東京駅までの切符を買おうとするが、残念ながら四国から出られるほど長距離移動の高額切符の取り扱いは無かった。
「(――どうするか)」
みどりの窓口に行くという手口もあるが、正直、みどりの窓口を利用するのは避けたい。
俺のことを探している人間が居る以上、みどりの窓口を利用するのはリスクしかないからだ。
「仕方ないな……」
俺は溜息をつき券売機で取り扱っている中で一番遠い駅まで移動できる金額の切符を購入した。
ついでにグリーン券を購入し、券売機を離れたあとは構内のコンビニエンスストアで食料と飲料水を購入する。
それから、改札口を抜けてホームで周囲を警戒していると、しばらくして快速電車がホームに入ってきた。
電車が停車したあとは、電車に乗り込みグリーン列車に移動する。
「ふう」
グリーン席に座ったところで思わずため息がでる。
得体の知れない建物で目を覚ましてから、ずっと移動続きだったので、椅子に座ったのは本当に久しぶりだった。
そのおかげで、俺は溜息が無意識に出たんだが……。
「殆どというか、まったく人が座っていないな……」
他の普通車両には、通勤と通学で使われているのか、それなりに人が乗っていたが、流石にグリーン車両は殆ど使う人間がいないので、ガラガラだ。
まあ、あまり他人に姿を見られるのも問題があるので、人が少ないにこしたことはないんだが。
コンビニで購入した弁当を食べ、お茶のペットボトルで乾きを癒したところで、外を見る。
普段の高知駅というのを知らないが、他の地方の駅ホームと代わり映えのない空気がある。
そうしていると、電車は走り出した。
電車で、まずは徳島駅に移動する。
時間としては3時間ほど。
徳島駅で降りたあとは、時刻を確認するが、すでに午後9時を回っている。
この時間だと下手に移動するよりかは、ネットカフェか健康ランドを利用して英気を養った方がいいだろう。
「情報を得るのならネットカフェ一択だよな……」
だが、健康ランドも捨てがたい。
山の中を移動し、かなりの距離を移動した事もあり、風呂に入ってさっぱりしておきたい。
本来であるのならビジネスホテルも選択肢としてはありだが、如何せんビジネスホテルは足がつく。
「よし」
そう考えると、することは決まった。
健康ランドで風呂に入ってから、ネットカフェで情報収集をして一晩を明かそう。
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