第161話 砂上の戦闘(20)
視界内に表示されているアイコンを選び起動して、商業ギルドの建物を検索する。
すると、少し離れた場所と言っても300メートルほどの距離はあるが、目的地が表示される。
「よし」
俺は近くの建物の屋根の上へと跳躍し飛び乗ったあと、屋根伝いに商業ギルドへと向かう。
商業ギルドまでは1階建てから2階建ての建物しかなかったので、道を歩く人間の目をやり過ごすのは苦労したが、何とか商業ギルドの建物前に到着。
「――さて、壁を登るしかないよな」
腐っても商人が利用する商業ギルドの建物というだけはあって4階建ての高さを誇っている。
おそらく街の中では、もっとも背の高い建物なんじゃないだろうか?
俺は、自分が立っている1階建ての平屋の建物から商業ギルドの煉瓦作りの壁へ向かって跳躍する。
そして、2階あたりの煉瓦の凸凹を指先で掴んだあと、自分の体を支えながら上方へと昇っていく。
途中、窓などがあったが中を見れば商業ギルドで働いているであろう人間達が帳簿をつけている場面を見ることが出来た。
4階まで、壁伝いに上がったところで屋上へと出る。
もちろん屋上と言っても4階の屋上から4階へと降りる階段などはない。
俺は、視界内のMAPを起動させながら周囲を観察したあと、4階に人がいない部屋を見つけたあと、天井の煉瓦を力任せに引き抜く。
『ガコッ』という鈍い音が聞こえてくるが、人が近寄ってくるような気配がないことから、問題はないと4階へと飛び降りる。
「ここは、どうやら書庫のようだな」
俺が屋上から降りた場所は、鎖に繋がれた本やパピルスが補完されている場所のようで、中には石板や木簡なども置かれていた。
とりあえず、目録を見たり、中を確認していく。
「どうやら、大半が商業に関する取引の内容みたいだな」
本来なら責任者を捕まえて話を聞こうと思っていたが、商業関係の取引資料があるのなら、特に聞く必要ないかも知れない。
あとあと、問題になっても困るからな。
主に書かれているのは、麦などを含めた穀物の取引。
あとは数十年の間の商品取り扱い内容に関する記述書。
「ふむ……。それにしても不可解だな……」
俺は、一通り書類に目を通して感じた事があった。
それは、穀物の取り扱いに関する内容におかしな点があったからだ。
「砂漠の真っただ中に存在する都市から穀物を輸出するなんてありえるのか?」
輸入するのなら分かる。
だが、輸出をする事なんてありえない。
少なくとも穀倉地帯は緑豊かな土地で作られるのが一般的な常識だからだ。
「どういうことだ?」
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