第56話 ハイネ城炎上!(3)
そのヘイゼルの言葉に俺は肩を竦める。
とてもじゃないが、水竜なんて相手にしている時間なんて無いからだ。
「お断りします」
「報酬はキチンと出そう」
「報酬の問題ではなく、今、俺はリーン王国の王都に向かっているので余計な仕事を受ける余裕はないんです」
そもそも、水竜の巣は、水竜アクアドラゴンの領域。
カンストプレイヤーが数十人規模で集まらないと倒せないというアルドガルド・オンラインでも最強のボスモンスターの4竜の一匹だ。
まぁ、20年もゲームをしていた俺は、すでにインフレに次ぐインフレにより、転生前のキャラクターであるなら、水竜アクアドラゴンを瞬殺できたが、いまの現状だと厳しいというか無理に近い。
「そもそも、どうして水竜の巣なんかに?」
「じつは魔王軍、四天王が倒されたという話は知っているかな?」
「まぁ、そのくらいなら」
俺が倒したピエロ野郎か。
「知っているならいい。四天王のうち3人が入れ替わったと情報が入ってきた」
「3人?」
俺が倒したのは1匹のはずだが……。
「ああ、じつは異世界から召喚された勇者達が人間を裏切って魔王軍へと付いたのだ」
思わず吹き出しそうになった。
お茶を用意されていて口に含んでいたら、間違いなくお茶を噴き出していただろう。
「金子じゃなくて勇者ですか? 裏切ったというは……、つまり人間の敵になったと?」
「極めて信じがたい話だが……事実だと大国アルドノアのアルザス国王は全ての国に対して緊急事態の魔法通信を送ったのだ」
「なるほど……」
「君も異世界から来た勇者の話は聞いた事があるだろう?」
「ええ。まあ……」
「勇者が、人間を裏切るなど信じがたい!」
まぁ、あの3人組なら喜々として条件の良い方に転がるだろうなというのは、想像に難くない。
むしろ人間の味方をして品行方正に勇者をしている方が怪しく思えてしまう。
「それに、召喚された王国に勇者から宣戦布告の書状が届いたそうだ」
「宣戦布告?」
「うむ」
「それと、その書状には色々と書かれていたそうだ」
「そこには何と?」
「人間を殺した方が、反応は面白いから魔族につくと――」
ほんと、碌でも無いな。
益々、アイツらならやりかねないな。
「そして勇者たちは、新生・魔王四天王を名乗っているらしい」
「それは大変ですね」
「うむ。勇者の力は強大。そこで、我がリーン王国は、水竜の力を借りて新生魔王四天王となった勇者を倒そうと考えている」
つまり、召喚された勇者組は人類の敵になったという訳か。
「つまり水竜の力を借りてくればいいと?」
「そうなるが……何とかならないか?」
「それは難しいですね」
そもそも、4属性の古代竜は、知能は高いが話し合いが通じるような相手ではない。
間違いなく戦いになるだろう。
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