深追いの寄せ植え沼
毎年厳しさを増す猛暑&酷暑のシーズンが終わりに近付き、『毎日がサウナ』な日々で
夏の間は、仕事と家事・バラちゃん達と
けれど、秋になって脳味噌が低速稼働から脱出すると、先送りにしていた諸々を思い出す。
必要最低限だけで済ませていた洗濯物───大物の洗濯をしなければ。
引き籠もっていたせいで、散らかり放題の部屋を掃除しなければ。
火を使うのが苦痛で手抜き料理ばかりだったから、そろそろ真っ当なご飯を用意しなければ。
手入れをサボっていた営業車に、ワックスをかけなければ。
本業が一対一の接客が最も多いという便利な一面は、諸々の案件に不特定多数の人々の意見が訊けることだ。目の中に入れても痛くない姪っ子&甥っ子の進学祝いしかり、母が持ち込む謎食材の使用方法しかり、PCやスマホ・タブレットの不審なエラーの対処法しかり───この夏の議題は、『同好の皆さまが、どんな寄せ植えを作っているか』ということだった。
手入れが簡単で色取り取りのパンジー・ビオラ系は、やはり多くの方が愛用しているようで、大体は小さめの一鉢に単色を植え、色違いの複数の鉢を並べるという人が多かった。複数色を組み合わせる方々は、パンジー&ビオラだけでは平坦になり過ぎるからと、スットックやネメシアなどで高さを出し、単調になり勝ちな下部はアリッサムやバコパで充実させるという、昨年の私が成功した例と同じような感じだった。
新しいアイデアで面白かったのは、球根を仕込むという方法だ。それなりの大きさの鉢であれば、昨年の私がしたように、高・中・低の草花を普通にしつらえて問題ない。ただし、事前にその下に球根を仕込んでおくというものである。
一つの鉢に、成長したあとの姿を想定して複数の株を植え付けた初期は、わりと土の部分が見えるスカスカの状態だ。最初からみっしりと植え付けても良いという説もあるが、その場合、最初から見栄えがする代わりに、成長し始めるとたちまち根詰まりを起こし、わりと早い段階でENDを迎える。店舗などに飾るのであればその方が良いのだろうが、一冬楽しみたいのであれば、成長の余地を残して置いた方が良いというのが私の自論である。すると、ある程度成長した時点から、鉢に山盛りの花が咲き、小花がわんさかわんさかという私好みの鉢植えが完成するのだ。
ただ、人間的
『球根を仕込む』という
まだまだ初心者の私にとって、先人の知恵はありがたい。ずばり、「これはイケる」と思った。勿論、知ったばかりで、やったことがない新技を試してみたくて
そんなプロセスを
当然、問題は起こる。
球根を含む花材一式を仕入れ、「さあ、組み立てる(?)ぞ!」の段階になって、アネモネの球根が、ただ単に土に埋めればいいのではないことを知ったのだ。販売されている球根の袋の解説を、事前に読まないからこういうことになる。
解説によると、乾燥し切ったアネモネの球根は、湿らせた土や脱脂綿の上に置き、冷蔵庫で一週間ほど掛けて充分に吸水させ、
結局、私はその日のうちに通常の寄せ植えを仕上げ、後日、準備が出来たアネモネの球根を仕込むことにした、これは、アネモネの球根がチューリップの球根より小さいからこそ、なんとか可能だった苦し紛れの手法である。
試みの結果は、初めてのチャレンジにしてはまあ成功だったといえるだろう。
充分に吸水した球根は、無事に寄せ植え内に合流し、真冬になるまで眠り続けた。そして説明文にあった通りに、気温が十℃を下回る日が数日続くと無事に発根&発芽───あとは春を待つばかりだ。
やがて春になると、葉を茂らせたアネモネは次々と開花した。花の直径は六~七センチ、色は赤・濃い青紫・濃いピンクと華やかさがある。勿論、寄せ植えの姿は劇的に変わり、
ここまで来て何故『一応』なのかというと、アネモネが開花し始めた直後から、暖かくなり過ぎたからだ。園芸種だけではなく野の草花も同じなのだが、花を咲かせようとする時、彼らは花茎を長く伸ばす。
まあ、無事に根付いてしまえば人間がするのは保守点検だけで、あとはお天道様任せのパーセンテージが高い植物相手だけに、予想と違うことになるのもまた一興なのかもしれない。
付記:半年ぶりに鉢植えを持ち込んで数日、私が知らないところでやはり鉢植えが水浸しになっていたので、再び『水をやらないでください』の立て看板設置に至ったのは、予測して当然の結果だった。
【アネモネ】
キンポウゲ科 ヨーロッパ南部~地中海東部沿岸地域原産 球根性の多年草
【根詰まり】
文字通り、鉢の中が根で渋滞してしまうこと。
空気も水も栄養分も足りなくなるので危険。対処法としては、鉢増しするしかないが、アリッサムのように植え替え事態に耐えられない品種もあるので、要下調べ。
人間でいえば、山手線で駅員がお客さんを扉の中に力ずくで押し込んだ状態に類似。
【表記について】
登場する花の種類が多くなってきたので、一応の解説を。
花の名前の表記については、ひまわりの場合、『ひまわり』・『ヒマワリ』・『向日葵』など幾通りもある場合もあるが、筆者の独断で自分の中の花のイメージに沿って選択している。
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