落雷事故に巻き込まれた俺は雷纏って人生やり直しました。
@kurono1121
第1話 死者の世界
俺の名前は
趣味はアニメ鑑賞。自分で言うのもあれだが、顔の造形は悪くないと思う。しかし重度のオタクで人見知り、話すことといえば、趣味のアニメのことばかりだからか、親しくなった女性は会話を重ねるごとにみんな近寄らなくなるという悲しい現実…。
この間誘われた合コンに参加したときなんて、「趣味はなんですか?」って聞かれて脊髄反射で「アニメ鑑賞です!」って言った時の場の凍った空気…思い出すと吐きそうになる……。
いい加減彼女の1人くらい欲しいなぁ…。
いつも通り今日も仕事後に観るアニメのことを考えながら1日を乗り切ろうとしていた。
(今日は観たいアニメが多いんだよなぁ…。アニメの為だけにキツい仕事も頑張れるけどさすがに仕事量多すぎ…。けど今期豊作だし、まだ仕事のモチベも前期よりはあるんだよなぁ。早く仕事終わんねぇかなぁ)
しかし現実は残酷。いつものように仕事量が多く、周りの同僚も必死に残業している。
(アニメ観たいので今日は帰りますなんて言える日常になんないかなぁ)
と終わらない仕事にうんざりして現実逃避気味で仕事を片付けていた。同僚にちょっとタバコ休憩行ってくるわと伝え、そのついでに外のコンビニに飲み物を買い、ついでにタバコを吸っていた。するとなんの前触れもなく突然の大雨。コンビニにいた為、雨が弱まるまで雨宿りをしていた。
「ヒドイ土砂降りだな…今日天気予報で雨つってたっけか」
普段アニメ以外のテレビを見ないからか、ニュースすらも全く把握しておらず、傘なんてあまり持ち歩かない。どうやって帰ろうか考えていると雨が少し弱まってきたので、急いで会社に戻ろうとした。
しかしその時、上空に眩い光が放たれた。瞬間、俺の意識が崩れるように消えた…。
「ここは…一体…」
目を覚ますとそこにはなにもない白い空間が広がっている。
(あれ?俺さっきまで外でタバコ吸ってたよな…んで急な土砂降りだったからコンビニで雨宿りして…そして…)
さっきまでのことを必死に記憶から掘り起こそうと思い返してはいるが、その後の記憶が全く無い。
(外…ではないよな…)
訳もわからないまま記憶を辿ることしか出来ず、周りをじっくり見渡していたとき、
「ようお前さん、気付いたかえ」
「!?」
ふと背後から誰かに話しかけられた気がした。全部真っ白の空間で方向感覚が全く無かったが、声をかけられた方に顔を向けると、そこには杖を持って宙に浮いている爺さんがいた。爺さんと言っても見た目ほど老けてはいなさそうな少しイカつい感じがある、50〜60歳くらいってとこか。
「あんた…誰だ?どこから出てきた…」
「ずっとここにおったわい…まぁ気が動転して気付かなかったのも無理もないがのぉ」
話しかけてきた爺さんが俺の問いに不気味な笑いを浮かべながら答えた。なんなんだこのじじい…。
「その顔の様子じゃと此処がどこなのか、一体何が起きてるんだって思っておろう」
俺の考えが全部見透かされている気がした。こいつ、人の心が読めるのか?
「んで、あんたは誰なんだよ、此処はどこなのか教えてくれないのか?」
訳もわからない為、若干の苛つきを抑えながら目の前のじじいに話しかけてみる。
「1個1個質問してくれい…。まぁよい。わしの名はオーディスト。まぁ世間一般的に言うなら神じゃの。」
いきなり神と名乗られてしまった。訳が分からん…、宗教とか信じないタチなんだけど俺の中の深層心理が映し出している映像なのか…。
「お前さん、此処がどこなのか知りたがっておったのぉ。」
「なんだ?教えてくれるのか?」
随分親切な神を名乗るじじいだな…。
「此処は死後の世界じゃよ。」
「は?」
「つまりお主は死んだのじゃよ。ご臨終じゃよ」
まるで、意味が分からなかった…。
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