第十話 最後の戦い①
――魔導女王イルティミナ·ホルス視点。
ルートヴィヒ、ステラ、ゼロの三人を空中に浮かんでいる城に送り届けてナギ達の元へと向かうと、ナギ達は二万のクローン兵と乱戦状態になっている。
ラダン、イレーヌ、ナギ、チェルシーはクローン兵に囲まれながらも無事だ。
あたしは乱戦状態の中に入り、クローン兵を魔法でぶっ飛ばしながらナギ達に近付く。
「お待たせべさ。四人ともよく持ち堪えたべさね」
「ええ、なんとか持ち堪えました。ですが、クローン兵は一人一人がかなりの戦闘能力を持っています。中々厳しい戦いになりそうですよ」
厳しい表情でナギはクローン兵を斬り伏せる。
「あぁ、一対一なら勝てるレベルだが、この数で攻められるのはきつい。しかも連携能力が高い。一瞬たりとも油断できないぜ大賢者様!!」
クローン兵のコンビネーション攻撃を躱しながらラダンが叫ぶ。
「う〜、魔術士には近接戦闘の乱戦はきつすぎます!! 大賢者様なんとかしてください!!」
「···同意。···お師匠様助けて」
イレーヌとチェルシーは防御魔法を展開しながらクローン兵達の攻撃を必死に防いでいる。
確かに魔術士には乱戦状態は厳しい。
イレーヌやチェルシーに攻撃しているクローン兵を風魔法で吹き飛ばしイレーヌ、チェルシーと合流する。
「ナギ、ラダン!! あたし達はここから距離をとって遠距離からサポートと攻撃をするべさ!!」
必死に戦っているナギとラダンに向かって叫ぶと、あたしはイレーヌとチェルシーの手を取り、飛翔魔法で乱戦から抜け出してクローン兵達から距離をとる。
あたしは風属性に適正のあるラダンとナギに最上級風属性魔法ハストゥールのエンチャントをかける。
暴風を纏いし二人はクローン兵を次々と倒していく。
イレーヌはラダンの死角に居るクローン兵を上級風属性魔法サイクロンで吹き飛ばしていく。
チェルシーは、長期戦と乱戦を考えて魔力消費量の高い魔眼を使わないナギの援護をしている。
あたしはイレーヌとチェルシーにラダンとナギの援護は任せて、空中へと飛んで空から最上級火属性魔法プロミネンスを圧縮し収束させたプロミネンスブラスターをクローン兵に向けて放つ。
紅き光線は大地を溶かし、大勢のクローン兵を焼き殺す。
ステラに酷似しているので殺しにくいが、心を鬼にしてプロミネンスブラスターを放ちまくる。
それでもまだまだクローン兵は沢山居る。
魔力が持つか心配だけど今は放つしかないと思っていると、闘王と戦っていた闘神ミン·シャオが駆けつけてきてパラケルトは改心させた地王ガイツァーと共に駆けつけてくれた。
数分後には傭兵王と戦っていたセシルとキルハもやってきて、最後にヨルファングがタバコを吸いながら近付いてくる。
皆戦い相手を倒して応援に来てくれたのだ。
これでクローン兵との戦いは勝った様なものだ。
後は、ルートヴィヒ達がユルゲイトとアルジュナを倒すだけ。
空を飛べるあたしとパラケルトは、クローン兵達をヨルファング達に任せてルートヴィヒ達の応援に行く為に上空の城へと向かって飛んだ。
◆◆◆
ユルゲイトの相手をゼロさんに任せた僕とステラは大きな扉の先を進み、更に扉を開けてアルジュナを見つけた。
オルファースト王国の王宮の謁見の間に似た広間の奥にある玉座に座っているアルジュナは、僕とステラに笑みを向ける。
「あらあら、来たのはあなた達二人だけ? ···まぁ、あれだけの敵を用意したのに二人だけでも来れたのは褒めるべきよね」
アルジュナは僕達に笑みを向けながら拍手をする。
「でもお仲間達を放ってきて本当に良かったのかしらね? 私が揃えた配下は強いわよ? 特に下に残してきたアジ·ダカーハは破壊の権化。今頃お仲間は死んでいると思うわよ?」
アルジュナは余程配下の強さに自信があるのだろう。
だけど、僕は信じている。皆が必ず勝ってくれる事を。
だから何の心配もしていない。
今する事はアルジュナを倒す事のみ。
僕が剣を構えるとステラも杖を構える。
「あらあら、会話をするつもりがないみたいね。まぁ、戦うのはいいのだけれど、下での私はダンジョンマスターの能力があったから本気じゃなかったの。だからさっきと同じ様にいくと思ったら···死ぬわよ」
アルジュナから笑みが消え、アルジュナの身体から可視出来る程の黒い魔力が溢れ出ている。
凄まじい魔力だ。
だがそれでも勝つ。
ステラに視線を向けると、笑って頷いてくれる。
「大丈夫!! 私達兄妹が揃えば怖いものなんて一つもないわ!!」
確かにそうだ。ステラが居てくれるなら僕は強くいられる。
「うん、そうだね!! ステラ、絶対に勝とう!!」
「うん、お兄ちゃん!!」
ステラがレヴァンティンのエンチャントを僕にかけてくれる。
光迅化した僕は黒き魔力を纏うアルジュナに突っ込む。
「アルジュナ!! 覚悟!!」
今世界の命運を賭けた戦いが始まった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます