第33話 星図(ホロスコープ)

 大君は言われた。

「この極悪非道の者たちの、(星図)ホロスコープを作成せよ」と。

 占術家である我々は、99999人の囚われ人の星図を作成した。

 嘘つきや暴力的な人間や、残酷な人間には共通点があった。

 我々はそれを魔の印と云って、その成果を大君に伝えた。

「そうか。では、その魔の印を持って生まれた子は、殺せ」

「まだ罪を犯していない子を殺すことはできません。罪を犯す印はあれど、必ず罪を犯すとは限りません!」

「罪を犯す可能性のあるものなど、この国にはいらぬ。私には王として、この国を平和に保つ責務があるのだ」


 大君の言葉には「理」があるように思われた。

 すぐに、魔の印を持って生まれた子たちが殺された。

 殺された子の母たちは泣き叫び絶望し、やがて大君を恨んだ。

 その中に、大君の第二夫人がいた。

 血を分けた子どもでも容赦はない。

「我が息子といえど、特別扱いをしてはこの国の秩序が乱れる。構わぬ、殺せ!」

 大君の言葉であった。

 第二夫人は心の中に恨みを抱えながら、決して大君に悟られないようにしていた。

 そして、夜伽で大君が寝室に現れた際、その背に短剣を突き刺した。

 倒れ行く大君に向かい、第二夫人が言った。


「あなたは知らなかったのでしょうが、あなたのの星図にも『魔の印』があったのですよ」

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