第6話 正義

 お国の為に戦うことが『正義』だった。

 ぼくも、それが正しいことだと思った。


 でも、海の向こうに住んでいる人たちも

 同じように思っていた。


 そう、

 どの国の人も

 『正義』のために戦っていたんだよ。


 その結果

 お腹を空かせる人がいた。

 家を失う人がいた。

 家族を失う人がいた。

 命を失う人がいた。


 ぼくは思う。


 なにかを犠牲にする『正義』は

 本当に『正義』なのかと……


 ぼくは

 お腹を空かせている人に食べ物を渡したいと思う。


 家を失った人に部屋を貸したいと思う。


 家族を失った人を慰めたいと思う。


 命を失った人には祈りを捧げたいと思う。


 それが、

 ぼくの『正義』です。

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