南風、ハートブレイク/2017あの夏の日へ
水原麻以
硬質ガラスに咲くひまわり
虚空や写真盾に思いを馳せるより、もっともっと遠い場所がある。
抜けるような青い空、水平線に群れ集う海鳥。連続性を補助する表象は愛情の概念を補強してくれる。しかし、目に見える分断はそのような強がりを一撃で破壊する。例えば、面会室の強化プラスチック。あるいはリモートの逢瀬を阻む厚いゴリラガラス。元気な姿が見て取れるからこそ、隔靴搔痒が腫れた古傷を苛むのだ。
あの夏は特別に暑かった。けど、見えない恐怖に怯えて猫の額のような窓越しに伺う夏より熱い季節はない。
硬質ガラスの内側で君はいつも南風に吹かれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます