腐食する鋼鉄都市
ビルとビルの間に配管された透明チューブを乗り物が行きかっている。
「ご用件をどうぞ」
どこからともなく箱を積み重ねたような形のずんぐりむっくりしたロボットがあらわれた。腕の先端についた鋏をやたらと開閉する。
「この分じゃ、全身タイツ姿の家族連れが出てくるのも時間の問題ね。角の生えたジェットヘルメットを被って、汗一つかかずに平然としてるんでしょ」
花子が肩をすくめると、ロボットがブザー音を鳴らした。頭の上のパトライトがくるくる回転している。
「今の発言は国家侮辱罪に該当します。しかし、わたしに力を貸してくれれば今回の件は特別に観測しなかったことにしてあげます」
ロボットは露骨に賄賂を要求した。
「どういう世の中だ。しかし君、罪と言ったな? 警察機構があるということは人間がまだ生き残っているんだな? 機械に刑法は不要だ」
博士がそういうと、ロボットはタイムマシンを立て直してくれた。そして
花子のかわりにずけずけと助手席に乗り込んだ。
「ちょっと、わたしの席よ」
彼女の抗議をロボットは「案内役を買って出る」と言って切り返した。
◇ ◇ ◇
彼らの振る舞いを遠くから嘆く者がいた。
「ごらんなさい。人間はすっかり駄目になってしまいました」
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