第27話「キメッ!」

パレードがあった

大勢の人々

歓声を上げ、

手を振っている


視線の先には、

今注目のスターが、

オープンカーに乗って、

手を振っている姿が見えるはず


僕にはその様子が見れない

背が低いからだ


しばらくして、

歓声が大きくなる


何だろう?と思ったら、

近くの人が言っていた


「 彼があくびをしたわ 」

「 ええ、とってもチャーミングねえ 」


僕は想像した

スターはあくびをするだけで、

注目されるのだなと


これは一目見ないと仕様がない

そう思って人の波をかき分けた


ずんぐり、ずんぐり

ヌオオっと這いだして

いったのさ


また、歓声が上がった

僕は先頭に出て、

彼の正体を見たんだ


「 こっち見てえええ 」


そう言う人々に、


「 ニャアー 」


と答えて返していた


それは、


ではなく、

猫のコスプレをした

おじいちゃんだった


……


絶大な人気だった


なんだよ、

これなら僕にも人気がとれるよ、


僕は片手を頭に添えて、

猫のポーズ、

そして猫ナデ声で

ニャーと鳴いてみた


……


観衆はみんな、

あちらに向いて、

手を振っている、


誰一人、

反応してくれるのがいなかった


かつお節を投げつけてきた

おばさんを除いてね

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