第21話「捨てられた存在と、拾ってあげたい気持ち」

早朝に、

太陽が顔を出し、

街の家々の間から朝日は昇る


その家の前の、

ゴミ置き場の前で立ち止まる

学校に行く前の自主練

それは、ランニングの途中のことだった


一体のぬいぐるみが、置かれている

僕はそれを拾ってあげてもよかったが、

汚れていたから、とやめたんだ


二日目の早朝に、

太陽が顔を出し、

街の家々の屋根に陽があたる


その屋根の下の、

ゴミ置き場の前で立ち止まる

起きてからいつもの習慣、

自主練なのだから精が出る

それはまた、ランニングの途中のことだった


一つの目覚まし時計が、置かれている

僕はそれを拾ってあげてもよかったが、

壊れていそうだから、とやめたんだ


三日目の早朝で、

太陽は出なかった

街の家々の屋根には雨が降ってきた


その日の家の前のこと

あのゴミ置き場の前で立ち止まる

レインコートを着て走るのは、

気持ちがとても悪かった


また何かが捨てられて、

僕はそれを拾ってあげてもよかったが、

雨で両手が濡れるから、とやめたんだ


それからというもの、

僕はゴミ置き場の前を通り過ぎて、

気に留めることは、なかったんだ

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