第11話「魔法少女」

旅の始めだ

少女は小鳥と戯れている

だがカラスを相手にすると、

扱いは酷いものだ


主である少女

彼女は魔法を唱える


カラスが近寄ると、

―― じゃま 、――

と厳しくあたる


今我ら、馬車で

のんびり旅をしているこの頃

暗い森に入ると馬は走れなくなった

困ったものだと私が言うと、


―― カラス、あんたが行ってきて ――

と少女が冷たく言うのだ


普段は鋭い目つきでキリリとしているカラス

だが、この少女相手だと、

どうも意気地がない

さっきまで私と遊んでいた気楽さも、

少女が打撃系魔法でムチ打つと、

哀れな姿を見せるカラス


私も同じか

嵐の中を飛行し、

地上の者にあいさつする余裕も、

ここにはない


地上は人間の楽園

我々は下僕なのだ

この翼が、

何の役にも立たないのは、

悲しいのだがな


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